第216話お披露目

「おーほっほっほっほ、今日はわたくしのお披露目会に集っていただき、誠に感謝しますわ」


壇上に上がった先輩の従妹が、高笑いをしながらスピーチを始める。


「それが悪い評判か」


それが対面し、抱いた感想であった。


「それに格好も……」


低い身長なのは先輩と同じなのだが、もちろん巨乳ではない。


髪の毛をツインテールにし、銀色に染めているのはどういう理由なのか?


ふざけた格好のロリとしか思えない。


「とはいえ、お招き感謝する」


男なのにマナの量が多いという、イレギュラー存在だからだろう。


俺は桜子とともに招待状をもらい、この専用機お披露目の場に呼ばれた。


次の世代の人材を狙ったようで、会場にいるのは少女ばかりである。


同行者もOKと言うことで、あやめと雪子の2人も連れてきていた。


「改めて自己紹介をさせてもらいましょう。賀茂乃々葉かもののはですわ。以後お見知りおきを」


そう言って壇上の陰陽師は、周囲を見回す。


「遠く九州や四国からもいらしてくださっているようですね。北海道や沖縄の一族は、来ていただけていないようで残念ですが」


わざとらしくがっかりしたような表情を作る。


「一芸に秀でていないわたくしは、政府や防衛省より高く評価していただけませんでした。ときどき、あのお姉さまがうらやましくなります」


明らかに先輩に対する当てつけであるため、怒りを覚えた。


「お兄様、落ち着いてください」


今回の目的は、吹けば飛ぶ2人の扱いについて、乃々葉と話をつけることである。


怒鳴り込んで話し合いのチャンスを潰すのは、悪手以外の何物でもないだろう。


「しかし、魔法の腕を磨きながら、自己アピールを続けました。その努力が実り、最近専用機を作っていただけることが、決定したしたのよ。おーほっほっほっほ」


勝ち誇ったかのように笑う乃々葉である。


「専用機には、日本の神の名をつける選択肢もありました。しかし、わたくしはその慣例を破り、西洋の神から名前をもらうことにします」


一瞬間を置き彼女は言う。


「その名はメリクリウスですわ。おーほっほっほ」

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