第217話開発

「では、さっそく見ていただきましょうか。もってきてください」


彼女がそういうと、台車を押す執事のような恰好の男が現れた。


その台車の上には大きな板のようなものが置かれていて、乃々葉はそれを手に取る。


「おーほっほっほ、これこそわたくしが開発した、文字通り魔法の金属ですわ。名はMメタルなんて、つまらないものではありません。おほほ」


会場に、陰陽師の笑いが響く。


「先輩をバカにしやがって」


変な格好とはいえ、美少女と言える相手にここまで怒りを覚えたのは、生まれて初めてである。


話し合う目的がなかったのなら、怒鳴り込んでいただろう。


「この金属はオリハルコンと名付けました。わたくしのマナ波長と親和性を持たせ、金属操作魔法をかけやすくなっています。実演してみましょう」


乃々葉は金属に対して魔法を使ったようで、マナの波長を感じる。


「ほら、近くに来て見てください。形質が変化しているますよね?」


遠めではあったが平べったい板が丸まり、筒のような形になったことは確認できた。


「それ以外にも、性質を変化させ、液体金属に変えることも可能ですわ。おーほっほっほ」


勝ち誇ったような笑い声である。


「先祖の書いた文献を読み、研究に研究を重ね、独自に開発できましたのよ」


やはり、先輩への当てつけであった。

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