二人の陰陽師

第211話プロローグ⑥

部屋に入ると、見知らぬ少女が土下座をしていた。


「な、なんだ? お前は」


俺は驚き、後ずさりながら声をかけた。


俺はちゃんと鍵はかけたし、セキュリティしっかりしてるから簡単に入り込めないはずだぞ。


「某は甲賀忍者で、猿飛佐助の末裔であるあやめと申す」


そう言って少女は顔をあげる。


田舎っぽさを感じる、あどけない少女だった。


黒髪をサイドテールにしていて、体型は小柄なのだろう。


その地方の学校では、モテるタイプなのかもしれない。


「そうか。俺は瀬川一樹っていうけど」


「存じている。瀬川殿にお願いがあってきた。もし受け入れてくださるのなら、某は一生をかけて貴殿に尽くそう」


「内容次第では、検討しなくもないかもしれない」


はぐらかすつもりでこんなことを言う。


「実は、結婚してほしいのだ」


「よく知らない相手とはできないなあ」


それもだが、ハーレムを作る計画だってあるし。


「某とではない。相手を間違えたのだ」


よほど恥ずかしかったのか、必死に否定する。


「貴殿の婚約者である、賀茂よしか様。某は貴殿と彼女との結婚を望む」


俺の答えは決まっている。


「それは、さっき別の相手からも言われた」

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