第198話作成

美少女をエサにするとしても、肝心の作品がないと話にならない。


俺は補佐役として、サラさんの書いた文章を読み、それに対する感想を出していった。


時には方向性の違いで衝突することもあったが、それを乗り越えて作成は続く。


表紙や帯に関しては、安く引き受けてくれそうなデザイナーを探すことになった。


もちろん、俺やサラさんにはコネなどあるはずがないので、名家の生まれである先輩を頼った。


かなり迷惑がられはしたが、協力してもらえる。


俺とサラさんはデザイナーと協議し、表紙の構図を考えた。


帯のほうも書く内容が決まり、表紙を描いてくれる絵師も見つかる。


あとは、サラさんが本編を書き上げるのを待つだけだ。


彼女を缶詰に近い状態にして、必死で書かせる。


「ウチに美少女のうるおいをくれや。アンタの周り、かわいい娘多すぎやで」


こんなことを言い出す始末である。


もちろん執筆に専念させたが。


サラさんはさぼることが多く、あまり進まない。


しかし、亀のような歩みではあったが、少しずつ前進していた。


「これで完成や。あとは印刷するだけ」


予定をだいぶオーバーしたが、それをなんとか印刷所持ち込む。


ギリギリではあったが、俺たちの同人誌が完成したのだった。

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