第197話妙案
「しかし、どうしたものだ?」
未だに名前が決まらないサークルのメンバーが集まり、完売させるための方法を考えている。
今更ながら、基地の部屋をこんなことに使ってはいけないのではないのか?
「ウチに名案があるで。いや、言わずとも知れたことやな」
何故か含みのある言い方をする。
「いいものがあるなら、聞くけど」
同じサークルだし、もう敬語はやめた。
「一樹はん、ここに集まっている、女の子を見てみい。そしたら気が付くやろ?」
どういう意味かよく分からないまま、見渡してみた。
多国籍ではあるが、それがどう関係あるのだろう?
「まさか、彼女たちは……」
一名の例外を除き、全員が古き時代からの秘儀を受け継ぐ、正真正銘の魔女である。
これを内容に反映させれば、他とは違う作品になるわけだ。
「そうや。全員が紛れもない美少女やで」
「違った」
俺はもちろんずっこける。
「それが何か関係あるのか?」
美少女が作っても、いい作品になると思わないが。
「イベントに来るのは男が多いし、女だってウチみたいな趣味のヤツも多いで。そんな中に、美少女だけしかいないサークルがあったとしてみい。間違いなく話題になるで」
「ようは、彼女らを客寄せに利用すると」
俺は彼女らの彼氏ではないが、できれば気持ち悪い男への見世物にしたくはないのだが。
本人たちも、嫌がるんじゃないのか?
「まあ、ボクはそんなのは慣れっこだし。あ、もしかして、嫌がってくれているのかな?」
自称嫁はこんな感じだった。
「私はサラが望まないことはさせたくないですし、これはあいつ等の力をそぐチャンスですからね。見世物は嬉しくないですが、我慢しましょう」
先輩まで。
「わたくしはよしかさまの意見に従いましょう。遠まわしではありますが、日本のためになりますしね」
約一名を除き、賛同した。
当然、全員の視線が最後の一名に向く。
「分かった。やればいいんだろ? 実験体よりはマシだからな」
彼女はかなりの自虐ネタだった。
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