第182話言語

「久しぶりやな、よしか。ウチは日本にやって来たで」


これが彼女の一言目であった。


くすんでボサボサの金髪で、かなりどの強そうな眼鏡。


背中にはリュックを背負い、オタ女という人種のような見た目だ。


飛行場からやってきただろう彼女は、俺たちが暮らしている基地へやってきた。


俺ではなく、先輩に会いに来たらしい。


俺が一緒であったほうがいいだろうとの先輩の助言を聞き、ここに来てもらうことになったのだ。


「あなた、日本語を覚えたのですか?」


「そうや。前も言ったが、意思疎通がやりやすくなるからな。せっかくだし、よしかの使う方言に合わせてみたんやで」


そういって彼女は、ロリ先輩に飛びついた。


母国語はドイツ語であるらしい。


先輩はドイツ語を習得しておらず、だからと言って相手が日本語をしゃべれるわけでもない。


お互いに英語を使い、何とか意思疎通をはかったとか。


細かい言い回しを伝えるのは、かなり難しかったらしい。


相手はかなり後悔していたようだ。


「可愛ええ。それに、乳が大きいから、抱き心地も最高や。ジャパニーズファンタジーの結晶やな」


「最後は否定しませんが、私の体型と陰陽術は関係ありません」


俺のことなど眼中にないのか、先輩を抱き続ける錬金術師。


「紹介したいのですが、私の婚約者ってことになっている瀬川一樹君です」


「何? よしかは婚約したんか?」


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