第183話紹介

「なんでや? どうしてウチに黙って婚約した。友達だと思っていたのは、ウチだけなんだろうか?」


「それは説明しますので、今は一樹君に自己紹介してください。一応、私の婚約者なので」


それを聞き、彼女はかなり嫌そうな顔になった。


「ウチの名前はサラや。サラ=ホーエンハイム。聞いてるかもしれんが、パラケルススの子孫やで」


吐き捨てるような言い方で、サラというらしい錬金術師は言う。


「聞いています。俺は瀬川一樹。成り行きで、よしかさんの婚約者になりました」


相手がどんな態度で来るかも分からないため、今は丁寧にしておく。


ほかの魔女相手も、こんな感じであったが。


「アンタ、よしかに何をしたんや? ウチに黙って婚約なんかするはずがないわ。アンタのせいやろ?」


先輩から離れ、俺にとびかかってきそうな勢いで叫ぶサラさん。


「まあ、そうとも言えるかもしれないけど」


成り行きではあったが、俺の抱えてる借金も少し関係あるし。


「私の意思でしました。一族を継ぐための、いわば方便ですね」


「ホントか? それなら大した意味はないんやな。安心したで」

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