第181話誤認

「ウィーン? ゲーム機か、芸人のネタですか?」


「違いますよ。それは一文字多いでしょ?」


成り行きとはいえ、婚約者となってしまったロリ陰陽師ことよしかさん。


彼女から話を聞くと、また新しい魔女がやってくるようだ。


その魔女は、ウィーンにすんでるらしい。


「ヨーロッパのどこかですよね?」


俺でも聞いたことがあるくらい有名な場所のはず。


「ええ。オーストリアの首都ですよ。東欧、ヨーロッパの東ですね」


ピンとは来ないけど、おそらく神秘が渦巻いている場所なのだろう。


歴史のある建造物が多そうだし。


「その人が昔、先輩と関わった錬金術師なんですね。Mオイルを作るために」


「はい。大変でしたよ」


詳しくない俺でも名前を聞いたことがあるほど、高名な錬金術師の子孫だという。


そんな彼女は錬金術師の中では物好きで、喜んで先輩に協力しようとしたらしい。


ほかの一族に術の秘密を教えるような行いに、身内からいい印象をうけなかったとか。


「まあ、あの人にはそんなことはどうでもいいようですけど」


この時の俺は、先輩の言葉の意味を理解できなかった。

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