第173話回想③
寝る前に、私はあの男の子について考え続けました。
境内に迷い込んで、私を楽しませてくれたあの男の子。
「かずきくん、また来てくれるかな?」
そんなことを考えていたせいで、なかなか眠りにつけません。
しかし心配をよそに、かずきくんは何日か置きにやってきて、私を楽しませてくれました。
見つかると追い出されてしまうため、毎回ひやひやします。
そのたびにかずきくん自身の話や、友だちなんかのことを聞きました。
「できればその友だちとも会いたいなあ」
そういった後、かずきくんは何人かを連れてきてくれました。
人が増えると目立ってしまい、入り込んでることがバレてしまうので、1回だけでしたが。
家族やお手伝い人としか話したことのなかった私は、知らないものをたくさん見れます。
かずきくんのおかげで、楽しい日々。
「ここの神社の桜は、きれいな花をさかせるの。かずきくん来年はいっしょに見てくれる?」
境内にあるご神木の前。
勇気を出して、かずきくんにお願いしてみました。
「え? もちろんだよ。ぼくも桜子ちゃんと見れたらうれしいし」
うれしいことに、かずきくんはこう言ってくれます。
「じゃあ、やくそくしよう。絶対にいっしょに見るって」
「うん。やくそくする」
私はとてもうれしかったです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます