第116話理由

俺たち用に借りた会議室に移動。


副官は教官と話があるらしいのではずしている。


いるのは俺とエイミー、専用機持ちの3人だけ。


対面だと苦しいので、丸っぽい机を使っている。


「本題から入るけど、カズチャン、アンタはウチに来てくれよ」


「カズチャン?」


俺のこと?


いきなり、変なあだ名をつけられた。


それに、


「ウチってどういう意味?」


実家に遊びに行くということか?


「違う、違う。ウチの一族に、婿入りするってことだ。長老達だって認めているさ。hahaha」


豪快に笑いだした彼女。


「頭が固い連中は、『迫害の歴史を忘れるな』なんて言い、世界に知られることをいやがったりしているんだよ」


「それはしかたないでしょう」


また追いかけられるかもしれないし。


「しかし、私が無理を通して、カズチャンの血を迎えることを、一族に認めさせることに成功した」


「待って。ボクの旦那を勝手に連れていかないでほしいんだけど」


「お兄さまが婿入りするなら、妹であるわたくしもついていくのがいいと思いますが」


「おい、黙っていろ」


話がややこしくなる。


「俺は一応、自衛隊所属ってことになっている。専用機もあるし、日本を出ていったら亡命になるんじゃないのか?」


最悪、追っ手を差し向けられる。


少なくとも、いい感想は抱かれない。


「安心しなよ。それについては考えてあるからさ」


「本当か?」


残念美少女と関わりすぎたせいで、悪い予感しかしない。


「まずは、専用機を廃棄するんだ。それで、カズチャンは自衛隊をやめる。その後、アメリカに帰化し、米軍に入隊すればいい。完璧だろ?」


hahahaと、またも笑い出す。


「新しい機体を私が作ってあげるよ。カズチャンが一般人であったのが幸いさ。どこかの一族から、秘技を受け継いでいないんだもの」


「確かに」


その術式は、日本の国防を左右するのかもしれない。


引き継いだ者が亡命した場合、米軍に筒抜けになってしまうからな。


「そう考えれば、何の問題もない」


予感は外れた。


笑い方の問題だけで、正統派美少女じゃないか。


「本当に出ていくの? まあ、アメリカは同盟国だから、そんなに困らないけど。ただし、本妻はボクでね」


「私の体を調べられてしまうと、一族の術式がばれてしまいますからね。けなげな

妹は、日本で兄の帰りを待っています」


「ただ、考えたてみただけだ」


出ていくとは言っていない。


「それなら、私の写真集を渡しておくよ。好きに見てくれ」


「お、ありがとな」


ナイスバディなアイドルからもらえ、正直嬉しい。


「今晩はそれを使ってするんだよ。満足できなくなったら、私の部屋に来な。最初から来てくれてもいいけどね。hahaha」


またも笑う。


「どういう意味だ?」


いやな予感が。


「全部言わせるな。恋愛は個人の自由なんだ。魔女だろうが、軍人だろうが同じ。欲情したカズチャンが私に手を出す。上手くいけば、一発で愛の結晶が生まれるさ」


「やっぱりか」


一瞬騙されそうになったが、俺の周りに集まるのは残念美少女ばかり。

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