第115話来日

「ハーイ、お会いできて光栄です」


「おっしゃー」


そう叫びたいのを、なんとかこらえた。


そこにいた魔女は、間違いなく美少女であったから。


エンジン音を響かせながら飛来した、米軍所属の輸送機。


滑走路に着陸したそれから、鮮やかな金髪少女が降り立つ。


ショートカットであるオリヴィアとは、違うタイプの金髪であるな。


「私が副官のアリシアです」


続けて降りてきた軍人。


どこかの一族の魔女ではないらしいが、傍流の血を受け継いでいる可能性があるとか。


ちなみに、荷物は米軍に貸し切った倉庫に移されるらしい。


「こちらこそ光栄です。瀬川一樹といいます」


「私はロシア軍のアナスタシア。祖国の不利益にならない限り、貴国とは有効的な関係でいたい」


「ボクはオリヴィア。ゴールデンウッド一族だよ。同盟国通し、仲良くしようね」


「わたくしは鹿島桜子です。そこにいる一樹様の義理の妹です」


「違いますよ」


あくまで妹同然の関係だっただけ。


「私はエイミー。米軍所属の魔女です。アメリカ原住民のホプ一族だよ」


彼女は笑って言う。


「今回は勉強にきたと思っているよ。何せ、我が一族は田舎者だからね」


いきなりの自虐。


「むしろ、アメリカ自体が島国なんじゃないのかな? 外の術者と関わらないと、技術は発展しないさ。hahaha」


自虐で笑いだした。


「そうなると、来日目的は研修みたいな感じですかね?」


作り笑いで相手のねらいを聞き出そうとする。


「いや、違うよ」


「では、なんですかね?」


「それについてはじっくりと別室で話そう」


彼女が語る来日理由は、俺の想像を絶していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る