第84話説明②


「お前、神道におけるカミの概念を理解してるのか?」


「あ、ああ。多分理解できているよ」


何故か銀髪の異邦人(おそらくクリスチャン)から言われ、うろたえる俺。


「一樹、本当に理解できている?」


金髪の魔女にまで心配させられる。


「日本各地に土地神がいる多神教。一神教とはカミと呼ぶ意味は違う」


ほかにも、死んで祀られた人間はカミになるらしいな。


「間違っていないませんけど、今はそういうことを言っているのではありません」


妹にまで?


俺一人だけ、何かを間違えちゃっているの?


かなり焦るぞ。


「学問の神を知っているか?」


黙っていた冬音女史が入り込んできた。


「はい、受験生が参拝に行く場所ですよね」


この時代ではあまりないが、昔はにぎわっていたらしい。


「あのカミは、祟りが起きないように祀ったのだ。それが今は受験生に愛される」


「変な話ですね」


言っている意味は理解できるが、先ほどの話とどうつながるのか分からない。


「ようは、悪鬼も善神も本質的には同じ存在。コインの裏表のようなものです」


分かりましたか? お兄様、と付け加えられ、マイシスターの解説は終わった。


「分かったよ」


恐れられる霊的存在がカミになる訳か。


「そうなると、ここで信仰されているカミも、同じような存在だということですか?」


今ままで話についていけてなかたが、ようやく理解できた気がする。


「そうだ。悪神として人間にとって害をなすようになれば、もうアラミタマと呼ぶしかない。人間はそんな存在を大事にできないのだよ」


「そいつらは、自分の信じる存在をよく理解もせず、勝手に『善なる存在』と思い込んでいる訳ですね」

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