第62話義姉

「は?」


俺の脳は活動を停止した。


言われた意味が全く分からない。


「お兄様が交際している女性なら、妹である私の姉同然です。だから、お二人のうち、どちらがお義姉様であるのですか?」


桜子の目を見ているが、冗談で言っているようには思えない。


真剣そのものだ。


「やはり、意味が分からない」


ふざけていなくても、不明であるのは事実。


「はあ、不出来なお兄様ですね」


桜子は呆れたように言う。


「私とお兄様は、兄妹同然に過ごしました。ゆえに、お兄様は鹿島一族であると言えます」


「言えないと思うが」


時々、一緒に遊んでいただけだもの。


「いえ、言えるのです。その証拠に、お兄様は高レベルのマナ適性をお持ちです」


関係ない気が。


「そう思えないのなら、私と入籍すればいいのです。自動的に鹿島一族になりますので」


なんか、変なことを言ってないか?


「ですから、わたくしはお兄様のお気持ちを、知る権利があるのです」


「ないよ」


「いいからお答ください。お兄様の本命は、濁った髪のブアイソ女ですか? それとも、くすんだ髪のぶりっこのほうですか?」




「「はくしょん」」


二人は同時にくしゃみをする。


「「え?」」


そして、お互いを見つめあった。

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