第26話決闘

「これより、サーシャと瀬川の決闘を始める」


 俺たちの願いを教官は聞き入れてくれた。


 サーシャは専用機を使うようだ。


 よく許可が出たなあ、と思うが。


 俺はもちろん、スサノオで。


「.一樹、サーシャなんてコテンパにして。ボクは応援しているよ」


 オリヴィアがチアガール姿になり、ボンボンを振っている。


 下乳が見えそうで、結構嬉しいぞ。


「一樹君、頑張って」


 隅の方で佐伯さんは、パネル端末を片手に手を振っていた。


「絶対に勝ちますよ」


「いえ、勝たなくていいわ」


「と言うと?」


 どういう意味だ?


「私にいいデーターをちょうだい」


「それですか」


 いつものことだが、こればっかりだな。


「試合方式は、少し複雑になるな」


 1対1の殴り合いは認められなかった。


 変則的な試合になる。


「まずは両名でこの演習場を走ってもらう」


「え? 走るのですか?」


教官の説明に、オリヴィアが驚いた顔をする。


事前にルールを聞いていないようだな。


「ああ。そのまま相手を抜き去るか、先に5周した方が勝ちだ」


「決闘というより、マラソンみたいですね」


「ああ、でも違いもあるぞ」


「どんなところが違うのですか?」


「瀬川に限って、攻撃が許可されていることだ」


「一樹限定ですか」


「先輩ゆえの、手加減だそうだ」


「なるほどね」


「攻撃を防ぐためにAAの能力を使うのは認められている。サーシャが意図的に瀬田を攻撃することだけが禁止だ」


「そういうルールですか」


 オリヴィアはニヤニヤした顔に変わる。


「油断じゃないといいですけど」

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