第12話着替え

「授業はこれで終わりだ」


「「「お疲れ様でした」」」


「疲れた」


 終わってぶちまける。


 正直、授業は難しくはない。


 高校どころか、中学生レベルの数学であった。


「しかし、空気がな」


 サーシャはずっと横から俺を睨んでいた。


 ほかの女子も、俺をもの珍しそうに見ている。


 俺だけ男みたいだしな。


 しかし、今日はこれで終わりではない。


「一樹、次は実技訓練だよ」


「ありがとうな」


 金髪美少女が教えてくれる。


AAを使う訓練をやるようだ。


「もう呼び捨てか」


 別にいいけど


「うん、ボクはオリヴィアって言うんだ。オリヴィア=ゴールデンウッド。よろしくね」


 オリヴィアは俺に手を伸ばす。


「こちらこそよろしく」

 

その手をつかむ。


 一人称が「ボク」の美少女か。


 実在するのだな。


「本当はボクの横へ座ってもらいたかったよ。でも、アナスタシアに取られちゃったな」


「とってはいない。私は教官の命令に従っただけだ」


 やっぱり否定するな。


「でも、ボクに命じてくれてもよかったのに」


 笑いながら言う。


「教官はお前を信用していないのだろう」


「君までひどいよ。サーシャ」


「愛称で呼ぶな」


「それより、着替えて演習場へ行くぞ」


「うん。とっとと着替えちゃおう」

 

操縦用のインナースーツだな。


そう思ったら周りの女子が、脱ぎ始めた。


当然、俺の前にいる2人も。

 

制服の隙間から、胸元が見える。

 

2人とも、発育がいいようだ。


「待て。俺がいるぞ」


 男の前で着替えるなよ。

 

それを言われたクラスメートたちは、意外だったらしい。


「いつもは女子だけだったからな。気が付かなかった」


「ごめん。でも、ボクは一樹になら見られていいよ」

 

上目使いで言っている。


 心がときめくから困ったものだ。


「見ないよ」


 本当は見たいけど。


 脱ぎかけの2人から目線をそらす。


 もったいない気もするな。


「部屋から出ていくよ。俺は着替えを貰っていないからなあ」


「じゃあ、先に演習場に行って」


「そうするよ」


 あのグランドだな。


 次の時間だと、このクラスで使えるらしい。


「どこか変な場所へ行くなよ。私が文句を言われる」


 そう言われながら、俺は教室を出た。


「いかないよ」


 子供じゃないのだから。

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