第4話誘い

「話はよくわかりました。お断りします」

 

席から立ちあがる。

 

そのまま部屋の出入り口に足を向けた。

 

そうすると、どうするかな?

 

危険覚悟で、新薬のテストのバイトをやるか?


「待って。お給料はいいのよ。AFは国連直轄の組織だし、各国からたくさんの資産が払われている」


「だったらなんだって言うのですか? 新型機のテストなんて、AF部隊内でやっていればいい。そもそもの話、俺は高校生なのですよ。学校をさぼって、そんな仕事ができるはずないでしょ?」


 当たり前の話を、わざわざ言わせないでほしいね。


「それなら、AFの基地内にある学校に転校してもらう。若い方がマナは強い傾向があって、女子高生のAF隊員もいるのよ。そこに通いながら、テストもやってもらう。これならどう?」


「それでもお断りします。それに、俺は男ですよ。女性のほうがマナは強いんじゃなかったんですか?」

 

どこかで借金のかたに売り飛ばされちゃいそうな娘さんを見つけて、テストをしてもらってください。


「それなのだけど、あなたはあり得ないのよ」


「何がですか?」

 

失礼な言われ方だな。


いきなり“ありえない”と言われるなんて。


「この部屋にある簡易式マナ測定器で測定してみたところ、針が振り切れたわ。あなたは何者なの?」


「何者って言われても」


 隠している正体なんてないが。


「マナが強くなったことに、思い当たる理由はない?」


「ないですよ」

 

そもそも、マナ自体ここで知ったし。


「つまり、あなたはとんでもないマナの力を持っているのよ。テスターどころか、AFの正式な隊員になれるぐらいのね。いや、エース操縦者か、それ以上の力」


「遠慮しておきますよ」


 新薬のテスト以上に、危険が付きまとってくるだろ。

 

名誉がもらえても、借金は減らないしな。


「あなた以外のほとんど全員が、若い女性なのよ。これは魅力的じゃないの? 可愛い子だって。絶対にいるわ」


 脳内に“ハーレム”という文字が浮かんだ。

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