第1章 第24話 逆転の策
シャルテとテルルが放った【ライトニング】は、森の近くに寄り様子を伺っていて逃げ遅れた警備隊員を襲おうとしていた2匹のゴブリンの腹を貫いた。
そして少しばかり強めに放った【ライトニング】は2匹のゴブリンを貫くだけでは止まらず、後ろから襲ってきていたゴブリン達をもう数匹貫いた所で止まった。
ゴブリン達は【ライトニング】が放たれた事によって止まり、その隙に警備隊員は東門まで後退する。
「ナガスさーん!」
シャルテとテルルは防衛線の最前線で指示を出しているナガスの元へと走りながらナガスの名前をシャルテが叫ぶ。
声に気が付いたナガスは最後に警備隊員に一言告げると、シャルテとテルルの方へ向かって走ってくる。
「シャルテ君、テルル!大丈夫かい?怪我は!?」
「いえ、大丈夫です。東門のそばにいたので⋯⋯。それよりも、防衛線は大丈夫ですか?」
シャルテがそう問うとナガスは苦虫を噛み潰したような顔をし、
「防衛線は大丈夫なんだが⋯⋯さっきの奇襲で森の近くにいた何人かが戻ってきていないんだ。⋯⋯多分、もう⋯⋯」
「そんな⋯⋯」
その場の空気が重くなる。
「だが、その事を引きずっちゃいけない。僕達は今出来ることをしないと」
しかしナガスはその事を頭の隅へと追いやり、ゴブリン達の対処の話をする。
「今ゴブリン達は東門前の道でどうにか食い止めてる。けど、予想以上に勢いが激しくて、あまり長くは持たないだろう。防衛線は少しずつ押されていく。そして僕達がゴブリン達を押さえてる間に、僕達が東門まで追い詰められる前にシャルテ君達が魔術でゴブリン達を殲滅してくれ」
私達がすることは、ただ単に警備隊が食い止めている間に魔術の集中砲火を浴びせればいいだけだ。
単純明快、故に強力。
「でも、それだけじゃ決定力に足らない。ゴブリン1万にまだ学生である魔術師達の魔力が圧倒的に足りないからね」
そう、これがこの作戦の一番の穴。
例えシャルテとテルルの魔力を持ってしても、1万のゴブリンは流石に倒せない。
「じゃあ、一体どうすれば⋯⋯?」
テルルが不安そうにナガスに尋ねる。
「大丈夫、ちゃんと策は考えてある。その策を使う時になったら合図するよ。と言っても、シャルテ君とテルル君に頼る事になる作戦なんだが⋯⋯」
ナガスは最初は自信有りげに言うが、シャルテ達に頼りっきりな作戦と言うことで少し申し訳なさそうにする。
「いえ、大丈夫です。私達に出来ることなら何でもします」
そうシャルテが言うと、テルルも後ろで頷く。
「⋯⋯分かった。少し負担が大きいかもだけど、頼むよ。その作戦は──」
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