第1章 第20話 覚悟
アレンと決別した翌日、学校は休校となった。
ゴブリン達がこの村に向かってきているかもしれないという事で、警備隊が学校に休校するように言ったためだ。
だが、魔術クラスに所属している生徒達は別だ。
警備隊は、1万のゴブリン達を魔術なしで倒すのは不可能だと判断し、魔術クラスに所属している生徒を戦闘に参加させる事にしたのだ。
緊急事態においては、警備隊はある程度の権限を持つことができるのだ。
これはアーティナブル王国の法律として定められているものである。
「という事で、みんなにはある程度だが戦闘に参加してもらう事になった。
もちろん戦闘と言っても、遠距離からの魔術攻撃だけだよ。そして、あまり攻撃魔術を得意としない人には後方で負傷者の手当をしてもらう」
今教壇で話をしているのはナガスだ。
みんなナガスの言葉を少し緊張した様子で聞いている。
「では、これで説明を終わります。おそらく、ゴブリン達が森から出てくるのは今日の正午当たりだ⋯⋯。みんな、覚悟しておいてくれ」
今の時刻は午前9時。つまり、あと3時間程で戦闘が始まるのだ。
ナガスの言った『覚悟』。
その意味を問う者は誰一人としていなかった。
みんな、分かっているのだ。
『覚悟』とは、誰かが死ぬ時のためのものだという事を。
シャルテとテルルは11時頃までは自宅に居ることにした。
もしかすると、この家で過ごすのも今日で最後もかもしれないから。
クラスメイト達も同様に考え、学校に残るものはいなかった。
2人は何も話さずに帰路につく。
が、家が近づいてきた時、テルルが口を開いた。
「⋯⋯ねぇシャルテ。アレンとは──」
「やめて」
だが、シャルテはテルルの言葉を遮る。
「⋯⋯ごめん。でも今はあいつの話を聞きたくないの」
「⋯⋯⋯⋯そう」
それで、会話が途切れる。
またも、その場を沈黙が支配していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます