第1章 第15話 久遠の森の異変

「久遠の森の様子が変だから調査してこいだぁー?」

 

アレンは朝早くから依頼主でありお得意様のナガスに叩き起こされ、少し不機嫌そうにその依頼内容を聞いていた。その依頼内容がこれだ。

前にも久遠の森に入ったし、俺は森と何か縁でもあるのだろうか?


「うん、そうだよ。僕が村を魔物から守る警備隊をしているのは知っているね?」

 

「いや、初めて聞いたけど」

 

「それで、最近森の様子が変なんだよ。魔物が森から出て来る事が多いんだ。というか、多すぎる。しかも、それが全部、ゴブリンなんだよ」

 

アレンのツッコミを華麗にスルーし、ナガスは続ける。

 

「⋯⋯で?俺にそれを見てこいと?」

 

「うん。だってアレン君、このまえシャルテ君に勝ってただろ?てことはこの村で1番強いって事じゃないか。だから、警備隊みんなで話した結果、アレン君に頼む事になったんだ」

 

「警備隊が仕事放棄してんじゃねぇよ!一番仕事放棄しちゃダメな仕事だよねそれ!?」

 

それに、アレンは対人戦には強いが対魔物戦にはあまり強くはない。ゴブリンみたいな下級に位置する魔物には特に。

 

「それじゃあ、頼んだよ。報酬は弾むからねー」

 

「あ、おい!」

 

そうして、アレンは森へ調査に出かけることになった。

 

 

「なるほど、それで今日は勉強会が無理と」

 

「ああ、悪いがそーゆー事だ」

 

「でも、それじゃあ仕方ないよね。一応そっちが仕事なんだし」

 

「一応じゃなくて普通に仕事だぞテルル」

 

アレンは森へ調査に入らないといけないという事で、今日は勉強会は出来ない事を伝えにシャルテの家に来ていた。ちなみに何故シャルテとテルルがいるかと言うと、森から出てくる魔物が増えてきているため、その真相が分かるまで無期限の休校となったのだ。

 

「んじゃ、俺は森に入る準備をしなきゃならねぇからこれで──」

 

「ちょっと待ちなさいよ」

 

アレンが家を出ていこうとしていたところをシャルテが呼び止める。

 

「なんだよシャルテ、早く準備してこの仕事ちゃちゃっと終わらせたいんだが」

 

「その森の調査、一緒に連れていきなさいよ」

 

「ちょ、シャルテ!?」

 

シャルテの言葉を聞いたアレンは少し目を細め、

 

「⋯⋯お前、分かってんのか?森には魔物がうじゃうじゃいんだぞ?白だとしても灰の俺に負けるようじゃ、まだ森は早い」


「でも、灰の貴方じゃ魔力が少ないから連戦になったらきついでょ?それに、アレンも私が後方支援したら助かるでしょ?」

 

「うっ⋯⋯。それは確かにそーだけどよ⋯⋯」

 

アレンが痛い所を突かれたという顔をしていると、

 

「⋯⋯じゃあ、私も行くよ。シャルテだけじゃ魔物が大量に出てきたら対応出来ないかもでしょ?だから私も行く」

 

「テルルまで⋯⋯」

 

アレンがどう答えたらいいのか困っていると、

 

「アレン君、連れていきたまえよ。僕の自慢の2人だ。魔物なんかにやられはしないよ」

 

どこから話を聞いていたのか、パパさんが出てきてそう言った。

 

「確かに、シャルテだけじゃあ何か起こった時に対応出来ないかもしれない。この子は不測の事態に弱いからね。でも、テルルが一緒にいればそこはカバー出来る」

 

「⋯⋯分かりましたよ、連れていきます行けばいいんでしょ!今から10分後に俺ん家にこい!1秒でも遅れたら置いてくからな!」

 

そう言って、アレンは走って家に帰っていった。

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