第1章 第6話 監視

3人の物語が始まると言ったな。

あれは嘘だ。

あれからシャルテとテルルは一言もアレンと話していない。というか、話せない。

 

シャルテとテルルがアレンと知り合ってから3日が経過した。

が、シャルテはアレンを監視できないでいた。

理由は簡単だ。それは──

 

「あいつ、全然家から出てこないじゃない!」

 

そう、アレンが引きこもっているからだ。別にアレンは常日頃から引きこもっているので不自然ではないのだが、アレンと知り合って間もないシャルテは不信感を募らせていた。

 

「3日も家から出てこないって、どう考えてもおかしいでしょ!テルルもそう思うわよね!?」

 

「うーん、アレンがもともと引きこもりって言うのはないかな?」

 

テルルの言っていることは的をいているのだが、

 

「それでも3日も家から出ないのはやっぱりおかしいわよ!」

 

実はアレンが今までで1番長いこと引きこもっていた時間はなんと2週間なのだが、そんな事をシャルテは知る由もない。

すると、話している間もずっと家を見ていたテルルが、

 

「あ!誰か家に入っていくよ!」

 

「え!?」

 

見ると1人の男性がアレンの家の中に入っていく。

だか、入ったと思ったら1分とたたずに家から出てきた。

 

「⋯⋯一体なにをしに入ったんだろう?」

 

テルルがそう尋ねる。

 

「⋯⋯分からない。でも、絶対に何かあるわ!次にまた同じ人が入っていったら突撃しましょう!」

 

「えっと⋯⋯、そんな事していいのかな?」

 


次の日、同じ男性がアレンの家に入っていった。

 

「テルル、行くわよ!」

 

「う、うん⋯⋯」

 

バン!

 

「一体なにをしているのか、洗いざらい話してもらうわよ!アレン!」

 

勢いよくアレンの家の戸を開けたシャルテはそう叫んだ。

 

そこに広がっていた光景は、アレンがその男性に箱を渡しているところだった。

 

「その中に何があるかは知らないけれど、尻尾を掴んだわよ!恐らくその中には、また問題を引き起こすようなロクでもないものが入ってるんでしょう!」

 

そう叫んでいるシャルテを口をポカンと開けて見ていたアレンは、「何のこっちゃ」と言う顔でシャルテを見ている。

 

「⋯⋯なぁ、お前何言ってんだ?実はお前って元から痛い子だったのか?なぁ、テルルどうなんだ?」

 

アレンはそうテルルに尋ねる。

 

「えと、ちょっと痛い所は最近──」

 

「テルル、アレンの口車に乗っちゃダメよ!何かを言わそうとしてるんだわきっと!あとテルル、痛い所は最近なによ。なんだって言うの!?」

 

「シャルテがそれ尋ねたらさっき自分が言ってた口車に乗ることになると思うんだけど⋯⋯」

 

そんなアホな事を言っているシャルテを見て、

 

「あの、アレン君?この子達ってこの村きっての天才達じゃなかったっけ?本当は痛い子だったの⋯⋯?特に茶髪の子⋯⋯」

 

「そんな事俺に聞かれても⋯⋯」

 

アレンと男性は若干引いていた。

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