第1章 第3話 学校帰りの悲鳴
アレンが猫を捕まえ、森で迷い始めて2時間がたち森から出てきたのと同時刻、2人の少女が学校の授業を終え帰路についていた。
片方の少女、シャルテ=カミラは綺麗な焦げ茶色の髪を肩までの長さで整えており、やや吊り目の翠玉色の瞳の少女だ。
もう片方の少女、テルル=セシクォーゼは透き通った碧色の髪をなびかせ、ポニーテールにしている。そして、ぱっちりとした瞳も透き通った碧眼の少女だ。
シャルテとテルルは帰路につきながら今日の学校での授業について話していた。
「ねぇ、シャルテ。今日の授業でちょっと分からないところがあって、教えて欲しいんだけど⋯⋯」
「いいわよ、どこが分からなかったの?」
「ええと、光系統を応用して雷魔術を作る所なんだけど⋯⋯」
「なんだ、私の得意分野じゃない。えーと、あそこはね⋯⋯」
そんな会話をしながら家に帰ろうとしている2人は学校でもとても勉強熱心で、そして学校きっての天才達である。
この世界には、魔術階級と魔術適性値と言うものがある。その魔術適性値の数字と、魔術階級の色でおおよその魔術師としてのレベルが分かるものだ。
魔術階級は8段階にわけられており上から順に、虹、白、黄、赤、緑、青、灰、黒、となっており、魔術師達の平均的な魔術階級は緑である。
そして、魔術適性値は魔術階級の色の中でもレベルをわけられるように数字にしたものである。0~500が黒、500~1300が灰、1300~2000が青、2000~3000が緑、3000から4000が赤、4000~5000が黄、5000~7500が白、7500よりも上が虹となっている。
そしてこの2人は、そんな魔術師達の平均を大きく超えている。
シャルテ、魔術適性値6300ほどで魔術階級は白。系統適性は光。
テルル、魔術適性値は4900ほどで魔術階級は限りなく白に近い黄。系統適性は水。
つまり、ここにいる2人は学校から見て天才というレベルではなく、世界レベルの天才達なのだ。
「で、ここでこうすると⋯⋯。はい! これで雷魔術の出来上がり!」
「ありがとうシャルテ!すっごい分かりやすかったよ」
「いやぁー、私の説明で分かってもらえてよかったー」
「ううん。シャルテ教えるの上手だもの。将来、教師を目指してるだけはあるよね」
「そ、そんなに分かりやすかった?て、照れるなー。あっはっは──」
そうしてシャルテは、嬉しいそうに体をくねくねさせている。
と、その時だ。
久遠の森の方向から悲鳴が聞こえたのは。
途端に2人は顔を険しくさせる。
つい先程まで楽しそうに会話をしていた人とは思えないほどの豹変ぶりである。
「⋯⋯さっきの、久遠の森の方からだよね⋯⋯」
「⋯⋯行ってみましょう、テルル」
そうして2人は走り出した。
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