第1章 第2話 猫探し
飼い猫を探し始めて3時間、村の隅々まで探し終えたアレンは、未だに飼い猫を見つけられずにいた。
正確には猫は捕まえたが、捕まえた猫は野良猫で、依頼主が飼っていた猫ではないということがあったのだ。(ちなみに捕まえた猫を子供のところに持って行ったときに飼い猫の特徴を聞いた。黒猫らしい)
「だあぁぁぁぁぁぁぁくそ!何で見つからねーんだよクソ猫め!こっちは3時間も探し回ってんだぞ!?ふざけんな!!」
アレンは必死で探した。にも関わらず見つけられないということはどこかですれ違ったりしている可能性が高い。
「ったく、また同じ所探し回るのかよ⋯⋯。俺、明日には空腹と疲労が重なって死ぬんじゃねぇか⋯⋯?」
少し暗い家と家の影をさ迷い、本気で餓死を覚悟し始めた時、視界の端で何かが走っていった。そちらを振り向くと黒い猫の尻尾が家の影から村の通りに出ていくところだった。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
「いぃぃたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
猫を追いかけ通りに出て、周りの人達がドン引きする中、アレンは目を血走らせながら大声で叫んでいた。
「あんのクソ猫め、やっと見つけたぞ!絶対に逃がすかあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ずっと探していた猫を見つけて少し興奮気味になったアレンは、自分が村を出てしまい、久遠の森の方へ入って行っていることに気が付かなかった。
唐突だか、この世界は大きくわけて3つの国からなっている。今回はその内の1つを説明しよう。
3つの国の中で1番小さなアーティナブル王国。
国の中央に、国を断截せんばかりに大きい山脈がある東の国である。
(東の国と言っても、残り2つの国が北と南にわかれているので、相対的に東の国になったというだけである)
アーティナブル王国は山脈によって北区と南区にわけられている。
北区には所々に沢山の小さな村があるのに対し、南区には都市があり、とても栄えている。
山脈は登ろうとしても、山頂に近づくにつれ魔物がでてくる。そして、山脈に1つだけある洞窟にも魔物が出現する。
魔物が出る洞窟を通ってまで北区を発展させなくてもいいという国が決定した。だから北区は南区と違って発展出来ないのだ。
そんなアーティナブル王国に隣接している終わりの見えない森が、久遠の森である。
3つの国の周りある森、海、荒野の1つで、それぞれに魔物が出現する、人が開拓することは不可能な場所だ。
そこに入ったのもは生きては帰れないと言われていて、子供は親から森、海、荒野には入っては行けないと口酸っぱく言われて育てられる。
そんな森に入っていることにも気付かずに、アレンはずんずんと奥に入っていった。
そして、やっと猫を追い詰めて捕まえることに成功した。
「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯、ったく、やっと捕まえたぞこのクソ猫め。お前をあのガキに渡す時絶対にガキから離れられない様に鎖で繋いどいてやる」
そうして家に帰ろうとした時、アレンは気付く。
「⋯⋯⋯⋯どこここ?」
そうして今度は森を抜けるために2時間ほどさ迷うのであった。
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