3話 最初

渡された旅道具は、こんなこと言っちゃなんだが対したことなかった。

期待していた「服」がなかったからだ


しかしマントがあった。

僕の服はうすらボケた淡い青色の服だったが、マントは真っ青。

こんな青色は、前例がないくらいに青かった

良いアクセントって感じだ。

服に合わせて選んでくれたのかもしれない


     □■□


軽快に魔物を斬り倒す

ここらへんの魔物なら小さい頃から遊び相手だ

目をつむっていても倒せる


ザクッ───ザクッ──


剣が魔物の肉を斬る音と魔物が鳴く声が耳に届く


目をつむっていても倒せるというか、どうも可愛い見た目をしている魔物達を斬るのは罪悪感に苛まれると言う方が正しい。

うさぎや、たぬきや、きつね...姿は様々だが本当にこの近辺の魔物は見た目が野生動物に似ている


───ブンッ


「キャッ」


──?────ブンッ


「や、やめてください旅人さん!」


はっきり聞こえた人語。

慌てて目を開ける。視界がボヤボヤしている

固く目をつぶりすぎたようだ。



目の前には怯えた表情の少女が立っていた。

僕より少し幼いくらいの女の子だった


「ご、ごめん。怪我しなかった?」

「大丈夫ですが、なにをしていたのですか?」

「いやちょっと。魔物を...ね」

「目を瞑っておられましたが?」

「それは癖というか」

「癖、ですか」


怪訝そうな顔を向けられる。

いや、魔物が可愛いから斬りたくないとか言えるわけないだろう...


「き、君はなにをしているの?」


咄嗟に話題をそらす。


「私ですか?空を見に来たんです」

「空?こんなところまで?」

「あ、えっ...散歩です!あの、村がこの近くにあるんですけどよかったらいらっしゃいますか?」

「村?本当?是非お邪魔したいな」


僕はどこに向かって歩いていたのだろうか

そんなに遠くまで来た記憶はなかったが太陽は丁度僕の真上に位置していた。


     □■□


「着きました!」

「お、お邪魔します。」


彼女の名前はコトミというらしい。

旅を初めて最初についたこの村は、僕の村と似た小さな村だった。

家の造りなども結構似ているところがある。


「観光出来る所とかなんにもないんですけど、ゆっくりしていってくださいね」

「うん。親切にありがとう。」

「では、私は用があるのでここで失礼します」

「そっか。ありがとう。またね」

「はい、また...」


去り際に寂しそうな顔をしたような気がするが、気のせいだろうか。

なにか、悪い事をしただろうか。


「お兄さん、この村ははじめてかい?」

「うわぁ!」


背後からの突然の大声に体が跳ねあがる。


「そ、そうです、けど」


振り返るとコトミと同い年くらいの子供が立っていた。

パッと見で性別が判断できない可愛らしい子だ


「僕が、案内してあげようか?」

「え、あ、えっと」

「さっきの子の事、気になるでしょ」


一瞬鋭い目で見つめられて、僕は促されるようにうなずいていた。

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