スノードーム

 白い魔法に包まれた。

 一瞬にして視界を奪われ、不快に思い、目を瞑る。

 この時期は寒い上に視界まで奪われる。

 動かない家々はお菓子で作られたかのよう。音もせずに鎮座している。

 僕は冬は嫌いだ。

 寒いのも嫌いだ。

 だけど、雪は好きだ。

 視界を奪われても、不快に思っても、チラチラと舞い踊る白は僕の心を踊らせる。

 僕はこれを魔法と呼んでいる。

 綺麗なものは全て魔法だ。


 僕は動かない。

 家も動かない。

 ただ、一瞬地震が起こったかと思うと、次に白が舞う。

 僕らの頭上にある透明な膜の向こうには大きな目をした大きな顔が覗かせている。

 膜の向こうでも白が舞っていた。

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