ネタバレ含:作品解説&裏話



 これは、読んでも読まなくてもいい内容です。

 他のところに置いておいたものですが、そちらを非公開にしてしまったので、こちらにまとめておきます。

 作品についての設定やら、キャラの設定やらそういう諸々となっております。



  * * * * * * * * * *





『雪花妃伝~藍帝後宮始末記~』について。




 おにロリ好きの私は、おにロリ要素を入れたい。そしたらテンション上がってサクサク書ける。捗る!

 でも、世の中には少女と大人の恋物語なんて気持ち悪い!って人が大多数だっていうのも知っている……。それくらいの常識と倫理観は持っているんだぜ。


 そんなこんなで、カクヨム最大のお祭り、カクヨムコンに応募する為に書いたお話。


 なんか中華風後宮舞台のお話を求められているみたいじゃない?

 それならそういうのいっちょ書いてみますか!と書いたのがこの『雪花妃伝』。

 僅かでもおにロリ要素を入れたい苦肉の策で、輿入れ当時は十一歳の主人公・鈴雪と、十六歳年上の藍叡。でも、物語本編は結婚式からしばらく経ってからの話なので、ただの年の差カップル。

 いや、恋愛面に関しては揃って淡白というより冷めまくっているので、カップルと称していいものなのか……?


 生まれたときに人生を占ってもらうのが慣習の架空の国・旬国が舞台。

 子供が生まれたら、どんな貧乏人でも必ず占い師に見てもらう。それくらいに、生後託宣は重要視されていた。

 因みに、占い師に謝礼を出すのも大変な貧困層向けに、神廟専属の占い師が無償で(といってもお気持ち程度に野菜とかお米とか持って行くけど)占いをしてくれるって制度があります。特に必要なかったから書かなかったけど。

 そんな国の重臣の家系に生まれた鈴雪は、「王を害する」という不吉な結果を伝えられた為に赤ん坊の内に辺境へと捨てられることになり、世俗を捨てて一生を神仏に仕える身となったのです。

 けれど、その次の代の王様が「高貴な血筋の巫女を嫁にすれば治世は安泰だよ」というお告げを受けてしまったので、その候補として王家の血を引いていた鈴雪に白羽の矢が立てられてしまったわけです。


 十一歳にして王の正妃となってしまった鈴雪。

 因みに、この国には結婚するのに年齢制限とかは特にないです。貴族階級なんかは縁談纏まったら吉日に結婚式~という感じで、子供同士で結婚することもあれば、お爺ちゃんと若いお嬢さんとの結婚という場合もある感じです。子供のうちに婚約しても結婚するのは二十歳ぐらいになってからにしましょう、ってお家ももちろんあります。それぞれです。

 でも鈴雪は、急いで結婚する必要があったので仕方なし。


 突然のことにびっくりする鈴雪。しかも出ちゃいけないって言われてた村から連れ出され、近づいたら殺されるって脅され続けていた王都に連れて来られたし、なにも説明してくれない無口の大男=藍叡はなんかとにかく恐いし――完全にパニック。

 帰らせてくれと訴え続けていたのに、帰らせてくれないどころか今度はまた別の場所に連れて行かれることになってしまい、いろいろ諦めた十一歳。

 元々大人しくて周囲の大人達に対して聞き分けのよかった性質の鈴雪は、達観と諦念ですっかりすべてを諦め、ここで生きるしかないならそうしよう、と離宮暮らしを受け入れることにした。


 それから月日は流れて、約十年。

 また大人の都合で王宮に連れ戻された鈴雪。もうメソメソすることはなくなっていたけれど、逆にとことん冷めた性格になってしまっていた。

 久しぶりに会った嫁の変貌ぶりにひたすらびっくりする藍叡。でも、そういう冷静な人間の方が扱いやすいと思い、子殺しの犯人捜しを依頼。事件は後宮で起きている。


 犯人候補は、取り敢えず四人の側室達。


 貴妃、寧菖香。

 顔つきもキツければ性格もキツイ系のお姉様。

 ご実家は正室や側室を何人も輩出してきた超名門貴族で、そういう血筋から、同い年の藍叡とは幼馴染み。

 当初、所謂「悪役令嬢」というか、鈴雪に意地悪をする立場の人として登場させたから、とにかく意地の悪い高飛車な人に見える。まあ、実際そういう人で、その我儘っぷりには幼馴染みの藍叡もたまにちょっとうんざりしてるときもあったり、逆に可愛いなぁって思ってるときもあったり。

 でも、設定を考えているときから、藍叡の子供を残すのは彼女と決めていた。

 如何にも犯人風の嫌味っぽい悪役と見せかけて、実際は超いい人なのです。ちょっとツンデレさんなの。


 賢妃、黄芳蘭。

 ご実家は何代か前に分家した王家筋の由緒正しいお家柄。

 委員長タイプはギャル系とかの騒がしくて目立つ女が嫌い~ということで、寧貴妃とはとても仲が悪い。とにかく相容れない性格同士。

 鈴雪が戻って来た頃は、ようやく授かった子供を亡くしたばかりで気が立ってて、周囲に常にガルガルしてた。まわりの誰もが自分の子供を殺した犯人に思えて仕方なかったのでしょう。仕方がない。

 女の人ばっかり出ていると、台詞だけだと誰が誰だかわからなくなるときがあるから言葉に特徴を持たせたくて、寧貴妃は「~ですわ」とかのテンプレお嬢様口調で、黄賢妃は少しぶっきら棒な感じの口調で一人称は「我」って言ってることにしたら、わかりやすいけどなんかちょっと変な人みたいになってしまった。ごめんなさい。


 昭儀、楊明廉。

 実家は普通の貴族のお家。そこまで身分は高くない。

 顔立ちはおかめ納豆のあのキャラクターをもう少し今風な美人にした感じで想像してもらいたい。そういうちょっと下膨れ系の丸顔のイメージです。

 作中、あんまり目立たなかったのに、出奔前にとんだ爆弾投下していきました。

 ひっそりしていたのには一応理由があって――天麗公主の正体を知っていたから、下手に動いて手下の女官達に気づかれるのも嫌だし、協力しても反抗しても面倒な立場になることはわかっていたし、そもそも天麗公主は恐いし、仕方なく黙って静かにやり過ごしていたっていう感じなんですけどね。

 彼女はとにかく、なんとか王の子供を産んでそれなりの立場を確保して、あとは穏やかに過ごしていたかったのです。

 でも、あんまりにも子供は死ぬし、自分が妊娠しても流産してなかなか産めないし、ビクビク悶々としていたところに鈴雪が帰って来て、権勢を振るっていた寧貴妃さえも従える強さを見せつけられて、この人なら天麗公主の野望を食い止めてくれるのではないか?と淡い期待を抱いて小さなヒントを差し向けた。

 上手くいったと思ったのに、鈴雪の毒殺騒ぎが起こって、これはもしかすると自分の考えが天麗公主にバレたのでは?と不安なになって出奔。その後、見張っていた永清君の部下に殺されているのでした。


 充媛、安琳嬉。

 楊昭儀以上に目立たない感じの、ふわふわした子供っぽいお嬢さん。年齢はもう二十代なんだけどね。

 子殺しの犯人はこの子だと、一番初めに設定を練っていたときから決めていた。でも、なかなか納得いく動機と理由づけにならなくて。書いている最中にも設定を散々弄り回していたんですよ。あまり目立たないキャラだから出来たことだと思う。

 側室になったけれど他に好きな男がいて、その男と逢引きしている設定とか、それを鈴雪が目撃して危険な目に遭っちゃう展開とかも候補にあったんですけど、それやっちゃうとかなり話が長くなって収拾つかなくなりそうだったので没に。

 結局一番しっくりきた現在の設定に落ち着いたのです。

 世間知らずでふわふわした性格っていうのは本物の琳嬉も同じなので、更に輪をかけてふわふわ世間知らずな天麗と入れ替わってもあまり気づかれなかったという。……ちょっと無理があったかな?

 そんなこんなの作中一番可哀想な人だったかも知れない琳嬉(本人の方)


 そして、天麗公主。

 天女のように麗しいの字が示すとおりに生まれたときから愛らしく、無邪気で純真で、けれど虚弱体質でいつも寝込んでいて、自室から殆ど出ることなく生きていた。

 けれどその本性は、「蝶よ花よ」「お身体が弱くて可哀想に」と優しく甘やかされが故に凄まじく自分本位で、我儘で、歪んだ自己愛で傲慢すぎる程傲慢に育った残酷な怪物だった。しかも、当時の王后の一人娘で気を遣われている上に、そんなお可哀想な公主様を叱るような酷い女官がいる筈もなく、善悪を教えられることもなく育ってしまった。まさに天使の顔した悪魔、美しき災厄。

 もしも彼女が人並みの倫理観や道徳観、忍耐や思いやりなどを身に着けていたら、もしくはもう少し悪知恵が働かなかったり、命令に従う女官がいなければ、こんな悲しい事件は起こらなかっただろう。

 いや、そもそも、彼女を甘やかし、「邪魔な者は排除すればいいし、自分達はそれをしても許される立場なのだ」という認識を植えつけてしまった母である王后がいなければ、こんなことにはなっていなかったんだろうなーみたいな。



 女官達のこと。


 恵世さんは、優しいオバチャンと見せかけて、実は天麗公主の手下でした。

 若い頃からのバリキャリでメキメキと出世して、引退するまで十五年程女官長をやっていた。今の女官長も頭が上がらないくらいの仕事人間。

 けど、やっぱり結婚したかったし子供も欲しかったなーという願望もあって、懐いてくれる天麗公主を我が子のように可愛がっていたという、ちょっと寂しい一面もある。

 因みに、鈴雪が服毒するように毒滲み布巾を用意していたのもこの人。甲斐甲斐しく世話を焼きつつ、好機を狙っていた。


 玉柚は頼れる参謀であり、師匠。

 出来る先輩女官であり叔母でもある恵世に仕込まれたので、かなり有能な女官。後宮の綱紀を取り締まる部署に所属していたことからも、その優秀さは折り紙つき。

 お母さんが藍叡の乳母の一人だったので、藍叡とは乳兄弟。小さい頃は遊び相手として一緒にいたけど、七歳になったら男女は同席を憚るべきということで疎遠に。でも同じ王宮内にいるので会ったら言葉を交わすくらいはする程度に気心知れた仲ではあった。

 仲がよかったから側室にって話もあったんだけど、身分違いと恵世の立場を考えてお断りした経緯がある。

 実は猫好きなんだけど猫アレルギーという設定がある。


 紅可と小玉。

 なんかいつも一緒にいるコンビみたいな感じ。もちろん同期。

 玉柚が頼りにしている武闘派女官で、離宮時代は鈴雪の身辺警護を担当していた。

 二人とも背が高くてがっしりめな感じだけど、紅可の方が全体的に四角い感じで若干ゴツイ。小玉の方は太ってる感じではないけど全体的に丸い感じのがっしり感。


 夕媛と玲園。

 姉妹女官。夕媛の方が妹で、天麗公主とは同じ年なので、子供時代の一時遊び相手として後宮で暮らしていて、そのまま女官になった経緯がある。だから利用されていた。


 容蘭と丁花。

 ほぼ名前だけで出番もない(笑)ごめん。

 丁花は鈴雪の食事をもらって来る係りをしている。


 偲媚さん。

 鈴雪に仕える女官達以外で名前が決めてあった人。寧貴妃のところの侍女頭。

 寧貴妃の実家からついて来た人で、最期のときまで付き従い、寧貴妃が亡くなったあとも龍環のお世話などを手伝って鈴雪達と暮らしていたけど、無理が祟って主人を追うように亡くなってしまった忠義の人。


 青燕。

 天麗公主から派遣されていた刺客。

 でもあんまり度胸がない気弱な子だったので、ビクビクしててすぐにバレちゃった。



 黒幕、永清君。

 本名は郭維信。維の字を「維」だったか「惟」だったかしょっちゅう忘れる。ついでに永の字も「英」だったか「永」だったか…??(つまり名前の響きしか記憶していない)

 阿呆の振りした腹黒策士。無駄に賢いけれど、自分がよければ他人のことなんてどうでもいいって考えの持ち主なので、絶対に王様向きではない。政治?なにそれ美味しいの?

 でも王様にはなりたい。だって自分は先代王の弟で、血筋的には王にもなれる筈だったんだし、だったら王様になって当然じゃない?

 王宮というものを知らずに育った悲運の王子として周囲から見られていて、更に、お母さんの実家の人が結構な野心家だったので、権力を握りたいが為に永清君を利用しようとした。その為に、小さい頃から「本来ならあなたこそが玉座に相応しい」なんて吹き込まれていたら、勘違いに勘違いが重なって、変な確信と自信に繋がってしまうよね。

 そんなとき、小さい頃から懐いている姪っ子が、自分を異性として惚れていることに気がついた。

 なにせ美人な母譲りの美形ですから、後宮から出たこともなく絵巻物に描かれたイケメンヒーロー達の恋物語に夢中なお嬢さんはキュンキュンしちゃう。

 この国の法律では、叔父と姪は結婚出来ます。王家に限っては、濃い血筋を残す為に、母違いなら兄妹姉弟でも結婚出来ます。だったら利用してやろうじゃないか、と姪っ子を更に惹きつける。玉座を手に入れる為に、ちょっとした恋の駆け引きで遊んでいる。

 そしたらなんだかんだと姪っ子が暗躍し始めて、どうやら玉座を与えてくれようとしているようではないか。これは好都合、と好きにさせておく。

 その間に自分はお母さんの実家の援助で着々と簒奪の準備を進めていくんだけど、姪っ子の悪事がバレて、そのとばっちりで島流しに遭ってしまった。チクショウ。

 でもただでは起きない。王都から離れたことをこれ幸いと、もっと大っぴらに準備を進める。意外とバレない。ラッキー!と調子に乗っているうちに準備が整い進撃。それなりの抵抗はあったけれど、仕事は出来ないけど王宮の抜け道とか内部に詳しい左遷組お坊ちゃま軍団が味方にいるので、結構楽に落城。簒奪に成功。

 邪魔になりそうで口喧しい重臣達は全員処刑。逃げた家族とかは、まあ見逃してやる。王都に戻らなければいいよ。地方で野垂れ死ね。

 これで邪魔者はいない!万歳!

 しかし、前述のとおり、政治?なにそれ美味しいの?な性格なので、朝廷は荒れる。国内も荒れる。けれど残っている官吏は仕事の出来ない左遷組や、急遽登用された仕事内容を知らない新人ばかり。当然、国政は立ち行かなくなり、金の使い道もとんでもなく、取り敢えず税金だけが重くなっていく。

 そんなことやってれば、民の不満は爆発寸前よね。

 地道にコツコツ人手を募っていた紫耀太子がようやく挙兵、あっさり討死しましたとさ。


 ……うげ。なんか無駄に語りすぎちゃったよ。

 だって、たぶんみんな予想ついてるだろう設定だけど、作中では特に言及してなかったからさぁ。



 最後に、鈴雪と藍叡の話。


 主人公らしからぬほどに冷めていて物静かな鈴雪。

 まあ、身体に秘密を抱えているので、あんまり目立ちたくないっていうのが根底にあるんで大人しいんですけども。御廟育ちで、常日頃から大声出したり明るく喋ることとかもなかったから、元々の性格がそうなんですけどね。

 二つの性別を持って生まれてしまった為に「女としては王を害し、男としては王を助ける」という相反する予言を受けてしまった波乱の生涯を生きることになる。

 女=王后として求めた藍叡は害され、男=政治家として求めた龍環は長期王朝を築いた。

 作中、入れるべきところが思いつかなかったから書かなかったんですけど、数百年後とかに考古学者達による陵墓の発掘調査みたいなのが入って、副葬品とか調べる為に棺を開けたら、女性の装束を纏った小柄な男性の遺骨が納められていたものだから、これはいったい誰なのか?と学者達に激震が走った――って設定もあったりしてですね。

 入れたかったんですけど、入れるべき場所が見当たらなくて、どうしても書けなかったんです。とても書きたいシーンだった。

 両性ふたなりってことになっておりますけど、医学的なあれそれは置いておいて、鈴雪の外見は限りなく女性的で、おっぱいもAAカップくらいのとても小振りなものがあります。でもちんこもついてます。

 骨格は男性なので、骨盤の形とかも男性のものです。小柄で痩せ型なのであまり気づかれてないですが、女性らしい丸みというのが胸くらいで、あとは華奢な男の子そのものっていうか。男装したらちゃんと男に見えると思う。

 声は、藍叡が「鈴が鳴るようだ」と評したものよりは若干落ち着いて、女性にしてはまあ低い感じです。でも、男性の声ではないです。

 因みに、作中に存在だけ出ていた兄姉達ですが、順番は長男・長女・次女・権清・星晏から少し離れて鈴雪って感じで、一番上の長男兄さんとは十五歳以上離れているって感じです。長男兄さんは藍叡よりも少し年上(明確には年齢設定してないです)


 目を潰したのは残酷すぎるし、そんなことをするくらいなら殺してしまえばよかったじゃないか、というコメントを頂いたことがございます。

 まあ、そりゃね。残酷な仕打ちだったと思います。でも、そういうことをやらかした権清という男は、親から勘当寸前の仕置きをされていることからもわかるように、ちょっと頭がおかしいところがある。自分勝手で暴力的なところとかね。その結果の仕打ち。

 自分を不遇に追いやったのは家族で、こんなにお願いしているのに口利きもしてくれない妹はクソみたいな奴だし、最大限に苦しめばいいんだ!と思っていたので、ああいうことも平気で出来てしまう。嫌な兄貴だなぁ。

 そんな大怪我を負っても一命を取り留めた鈴雪は、周囲の支えもあったし、寧貴妃が遺してくれた龍環を立派な君主に育てなければいけないという意地もある。目が見えなくてもいくらでもやることはあるのだ、と奮起して生き続けた半生です。


 鈴雪は藍叡との子供は残せませんでした。元からそう決めていたことです。

 けれど彼女は、国という大きな子供を、よき理解者でありパートナーである藍叡と共に慈しんで育んでいきました。藍叡の死後は、彼の息子である龍環と共に大切に見守っていったのです。

 因みに、彼女の託宣「失われた光」とは、本人の失明のことであり、藍叡という光を失って荒れ果てた歴史のことを指しています。



 藍叡は、ヒーローとしては大人しい感じでしたね。

 鈴雪と年が離れている所為もあるんでしょうけれど、なんか少し離れた位置から見守っているような。言葉も端的な感じで、ちょっとぶっきら棒でしたかね。

 文武両道の男ですが、どっちかというと武人寄りです。

 ちょっと問題があるけど兄貴がいるし、自分の母親は身分が低かったし、そういうことから王位を継ぐことになるとは思っていなかったので、大人になったら王座に就いた兄貴を支える将軍とか、国境の守備隊長とかやらせてもらえればいいなーとか考えていた。国政は面倒臭そうだと思っていたので、宮廷に残るつもりはなかったと。

 それなのに、兄貴は素行問題で廃嫡されちゃうし、脳筋の弟と比較された結果、あれよあれよと世継ぎに担ぎ出され、病弱だったお父さんは呆気なく亡くなっちゃうし――気がついたら王様になっていた。

 困ったなぁとか悶々しながら王様業に勤しんでいたけど、それを気に入らない王太后(天麗母)が弟を焚きつけて内乱起こされるし、それをなんとか収めたと思ったら今度は日照りに旱魃に虫害にと踏んだり蹴ったり。なんてこった。

 苦肉の策で占ってもらったら、嫁を迎えれば解決って言われたので従ったら、お相手まだ子供だったんですけど……?


 根は優しいんです。真面目だし。でもそれを態度や言葉に出すのが苦手で、なんか一人で抱え込むところがある。だからちょっと取っつきにくくて、恐い印象を鈴雪に与えていたし、臣下からも気難しい人だと思われていた。

 側室達からは冷たい人だと思われてるかも? 同衾するのもなんか義務かなにかみたいに淡々としてるし、気を遣って優しい言葉をかけてくれたり贈り物してくれたりするけど、愛情はないんだろうなって四人とも思っているくらい。政略結婚だから仕方ないなってみんな諦めているけれど。

 それで、幼馴染みの寧貴妃以外は、もしかすると顔もしっかり覚えていないかも知れない。それくらいに後宮のことには興味がない。だから天麗と安充媛が入れ替わっていても気づかなかった。


 死後に「帝」と諡されるのは、二十年以上の善政を布いた王様に限られたことという設定がありまして、約二十年の治世を終えた藍叡は死後に「藍帝」と諡され、賢帝として後世に名を残しました。



 キャラの紹介は以上でしょうかね?

 龍環少年は、別にいいか。彼の話はまた別の物語でしょう。

 六十過ぎまで立派に王として務めあげ、豊かな国に導いたであろう彼のお話もそのうち考えてみたいなーという気持ちもありつつ、機会はなさそうだな、という面もあり。



 はー。なんかすごいいっぱい語ってしまった。

 あ、タイトルのことも書いておこう。

 いつぞやの近況ノートにも書いておいたのですけれど、タイトルの『雪花妃伝』というのは、鈴雪・寧貴妃・黄賢妃の三人の妃嬪を指した言葉です。

 雪=鈴“雪”

 花=“菖”香、芳“蘭”

 藍帝の遺志を、血を、後世に繋げた妃達の物語――というタイトルです。


 作中では、鈴雪と黄賢妃がまとめた書物を総称して、ということになっていましたけれど、たぶんその書物の中には枕草子みたいな日記的なものも含まれていて、後世に歴史を伝える役割もあった筈です。そういう感じです。



 書いていたときはとても楽しかった筈なのに、完結してからもずっと好きになれず、読み返すこともないくらいに嫌っていたこの作品と、最近になってようやく向き合えるようになってきました。

 主人公が両性であるというのに、『頑張る女子主人公コンテスト』で特別賞に選んで頂けて、誰かからきちんと認めて頂けたという事実が自信にもなってくれました。

 これから再び、今度はもっと深くこの作品と向き合わなければいけないということは、なかなか大変な部分もありますが、頑張りたいと思います。



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