5 カーテン
真っ暗な部屋をカーテンでさらに遮って、お互いの顔が見えるように豆電球をつけた。入ったばかりのベッドの中はひんやりしていた。一枚しかない掛け布団は二人で被るには少し狭くて、冷えた足先が触れるたびにどちらともなく離した。
「今日は何もしないよ。」
その言葉を残念に思う自分がいることをはっきりと自覚して、自分の気持ちがよくわからない。私の気持ちはひとつじゃなくて、3つも4つも宙にふわふわと浮いたまま彼の曇った目だけを見つめていた。
少し触れるだけで離していた足先も、触れないように胸の近くに置いていた手も、気づけば温もりを感じていた。何もしないと言ったのはどうしてだろう、私と新たな関係を結びたかったのだろうか、それともこの関係を終わらせたかったのだろうか。ばらけてしまいそうな言葉たちを頭の中で片付けられないまま、気づけば彼の唇を受け入れていた。そう、この匂い。
外でひゅうっと音がなった気がした。
まだ少し冷たい彼の手は、私の体のラインをなぞって弱い部分を繊細に攻めていく。硬い手が髪をすくって頭を撫でる。微笑んで冷たい目で見下ろされると、私はもう、ばらけた言葉たちなんてどうでもよくなって、その目だけを見つめていた。
今までどんな物を見てきたのか、どんな事を思って生きてきたのか、どうしたらそんなに目の奥の色が深くなるのだろうか。彼の目から、私はどう映っているのだろう。少しでも可愛いと思ってくれるといいな、なんて、考えてるうちに布団なんか要らなくなって。
昼、部屋に入ってくる光が眩しくて目を覚ました。まだ寝息をたてている、彼の頬を撫でてみた。
深い眠り ゆー @umjn-4
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