《花粉症》に罹患し、異能を獲得した人々が隔離される街、メフ。主人公である八街幸もまた、花粉症によってこの街に放り込まれてきます。未来を絶たれて失意の内にある主人公が、メフで新たな生き方を見出していくというのがこの物語。
主人公の若々しい繊細さと、メフという閉鎖された街で暮らす青少年の鬱屈した感情が織り成すほろ苦いストーリーがたまらない。それでいて、《花粉症》によって得た異能《花盗人》を揮って戦うシーンは熱く鋭い。繊細と熱情、優しさと厳しさ。主人公と同様、物語にも二面性があって、どこを切り取っても素晴らしく完成されています。
ちなみに、タイトルの驢鳴犬吠はろめいけんばい、と読むそうな。悩める主人公を周りでそっと支える、姦しい仲間たちとの絆にも注目です。