第53話 ご本人登場
おはよう ございます。
ゆうべは おたのしみでしたね。
自室のベッドの上で目覚めた俺は、起き抜けからゆうべの乱交を思い出してしまい、
誰も見てないってのにも関わらず顔を両手で覆い隠した。
仮に誰かが見てるのなら、真っ先に隠すべきは顔ではなくもっと下なんだが。
あれだけ搾り取られたのに朝勃ちしてしまうとは、
イキリダケの串焼きの催淫効果たるや恐るべし。
てかあのグラ、18歳未満にしか見えないモザイクが要るだろ。
そういや俺、リアルエロゲしてるけどまだ17歳でしたわ。
「……あんなに個人差が有るなんて知らなかった」
一目惚れ補正を抜きにしても、メツェンさんが一番良かったけどね。
「あっ……」
メツェンさんを想ったばっかりに、またまた大っきくなっちゃった。
どうしようどうしよう。
いや、悩むまでもなく取れる手段は限られてるよ?
今はアンアンコスじゃないから汚すのはそんなに気にしなくて良いし、
でもそれをしちゃうとホラ、臭いとかがね。
うーん……。
「とか言いながら本能と習慣には逆らえず、
ムスコを握り慰めてやろうと手を伸ばす俺であった……」
と、他人に聞かれたら遺書でもしたためざるを得ないレベルで恥ずかしい独り言を呟く俺であった。
「シツちゃんっ」
「わぁーっ!?」
まさかのご本人登場。
メツェンさんの奇襲に俺は飛び跳ね、すぐさま布団を被ってムスコを隠した。
今の聞いてました!?聞いてませんでした!?
遺書したためますか!?遺書温めますか!?
「あら?」
「メツェンさんおはようございます!」
布団ヤドカリ状態の俺は朝の挨拶をしつつ、旋回してメツェンさんを視界に捉えた。
壁に手を添えて出入り口に立つ彼女の草原にも似た緑髪と、
翡翠の眼がダブルでもたらす癒し効果は相変わらず。
絶妙に豊満な肢体もまた相変わらずで、
俺のムスコはさっきの妄想、
いや回想に続いてのご本人登場に興奮するあまり、ピクンビクンと飛び跳ねてしまう。
「おはようシツちゃん。
ゆうべはお楽しみだったわね」
「宿屋の主人みたいな事言わないで下さい!」
「私は宿屋なんかやってないわよ?シツちゃん」
「……こっちの話です。
それよりメツェンさん、俺に何か用ですか?」
「朝ご飯とお風呂、シツちゃんはどっちを先にする?
シツちゃんあの後すぐに寝ちゃったらしいから、
お風呂が良いと思うんだけど……」
メツェンさんは部屋に入り、椅子に座りながら話した。
彼女の動作に合わせて俺もベットの上で旋回。
すっかり客人専用と化してしまっているあの椅子に、
俺が座れる日は果たして来るのだろうか。
「うーん、確かにお風呂が良いですね」
椅子に座ったメツェンさんは上半身を乗り出して俺に顔を近付け、
両方の二の腕で胸を寄せつつ自身の顔を指差した。
「それとも……私?」
俺は布団の殻をスッポリと被って引きこもった。
「冗談はやめて下さいメツェンさん……」
今更だけどこの人、大人しそうな見た目してスケベだな。
俺が童貞卒業した時も非処女だったし。
ああもう、ムスコが我慢しきれなくなっちゃったじゃん!
準備万端じゃん!
「うふふ。
それじゃあシツちゃん、お風呂行きましょっか」
布団の殻の中にメツェンさんの手がススッと入って来た。
AAリングに触れつつ、俺の右手首を優しく握って引っ張る。
俺は抗えず、メツェンさんの意のままにスルスルと布団から這い出した。
メツェンさんが力尽くだった訳でもなく、かと言って俺が自ら進んで這い出たのでもない。
それは2人の人間によって行われた、妙な一体感のある動作であった。
「お風呂……」
俺はボーッとした感覚でメツェンさんを見上げる。
彼女の微笑みは良い意味で空気のような、
或いはこのイサファガに広がる緑豊かな大自然のような、
いつまでもそこに在って欲しくなる包容力溢れる暖かさ。
俺は興奮など通り越し、一種の神々しささえ彼女から感じていた。
「そ。
お風呂よ」
マザコン気味の引きこもりな俺からすれば、
このメツェンさんのような年上の女性が親切にしてくれるのは、
非常に美味しいし有り難い。
年齢の割に、女王とは天と地以上の差だな。
……やっぱり、彼女がイサファガで暮らす限り俺は出国なんかしないわ。
そう決めた。
いや違う、心に……魂にそう『刻まれた』。
「案内するわ。
付いて来て」
「はい」
メツェンさんが俺の手を引き、部屋から出ようとする。
さっきもそうだった様に、俺は半ば一体化した気分で彼女に従った。
ペットと飼い主でもない。
それでも違うけど、表すならまだ親子の方が近いか。
俺達は廊下を進む。
「メツェンさん、ここのお風呂ってどんな所ですか?」
「天然の温泉を引いて作った露天風呂よ。
朝イチだから私達2人っきり。
うふふ」
「へえ……え?」
確かに早朝一番乗りなら2人っきりだけど、
俺は男でメツェンさんは女だから男湯と女湯に別れるのが常識な筈。
あ、これ俺の世界での常識だわ。
この異世界とは全然文化も背景も違うからな。
何はともあれ、分かんない事は素直に聞くのが一番だ。
俺は「あの」と、やや早足なメツェンさんの揺れる後ろ髪に声をかけた。
「メツェンさん、もしかしてその露天風呂って混浴ですか?
男湯と女湯別々だったりしません?」
「別々よ」
「でも今2人っきりって……」
メツェンさんが急に立ち止まり、
彼女に合わせて早歩きしていた俺はそれに対応出来なかった為、
彼女の背中にぶつかってしまう。
一瞬だけ、自然な良い香りがした。
「メツェンさん?」
彼女は俺に振り返り、閉じた口の口角を上げてニッコリと笑っている。
どこか嬉しそうな様子だ。
「男湯と女湯は別々。
でもシツちゃん、イサファガの露天風呂はもう一つ有るのよ」
メツェンさんはそれぞれ順番に、右手の人差し指と中指をピンピンと立てた。
人差し指が男湯、中指が女湯を表しているんだろう。
「へ?」
俺が困惑していると、メツェンさんはそれまでとは違い、
3本目の薬指だけ何故かゆっくりと立てる。
「もう一つはね、カップルや夫婦や親子連れ専用の乱れ湯よ。
私達もそこを使うの」
「乱れ湯!?」
……安直なネーミングすなぁ。
って、ゆうべ散々お楽しみしたのにまたヤるんですかぁ!?
赤玉出ちゃうって!
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