最終話
ビーと真美の部屋のインターホンが鳴る。
——誰だろう。もしかして、圭くん?
急いでドアを開けた。
そこにいたのは息を切らした佑介だった。
ドキッとした。
「佑介…どうしたの?」
「お前を連れ去りに来た」
真面目な顔をしてる佑介。
「やっぱりオレはお前が好きだ。この気持ちは変わらない。だからオレと婚約して欲しい」
「え?婚約者は…?」
状況がよくわからない真美。
「解消された。オレがお前のこと忘れられなかったからだ。責任とって婚約しろ」
「責任って…あんたそういう態度だから…んっ…」
真美を抱き寄せキスをした。
「オレは圭人みたいに甘い言葉は言わない。それで惑わしたくないからな。ちゃんとオレを好きになれ。必ず幸せにするから」
切なそうな顔をする佑介。
「その顔しないって約束でしょ。佑介には笑っていて欲しいの。圭くんに言われたことよく考えてみた。確かに、圭くんの甘い言葉や態度にドキドキして、錯覚してたのかもしれないって…。でも、好きだった気持ちには変わりない。佑介の事が気になってた事もホント。ひどい女だよね。私なんて幸せになる資格なんてないよ」
「オレはお前じゃなきゃダメだ。平家も桃華ももうオレの手にはない。あるのは、お前への気持ちだけだ。もう、誰にも渡さない。お前は素直なヤツだから騙されやすかっただけだ。そう思ってオレのところに来い…」
両腕を広げ真美を待つ。
……。真美はどうしたらいいかわからなかった。しばらく下を向いていた。だけど、今の自分の気持ちに正直になろうと決め、顔を上げた。
タタタッと走り、佑介の腕の中へ思いきり飛び込んだ。
「やっと、お前を手に入れた。もう離さないからな」
佑介は強く抱きしめた。
「佑介…やっぱりずっとあなたが好きだったんだ。久しぶりにあんたと話せてこんなに嬉しいなんて…心の中のモヤモヤはこれだったんだ」
真美は久しぶりの佑介の温もりを感じ、幸せな気持ちになった。触れるだけでこんな気持ちになる…。
これが私にとっての『好き』なんだって。
そして、婚約届けを出し、真美は卒業する事になった。
佑介は自分でバイトをしながら学費を払っていくつもりでいたが、母がそれだけは平家にさせてと引かなかったので、大学卒業までは、平家の世話になることになった。
一方、圭人と桃華も婚約届けを出し無事卒業し、同じK大に入りなんだかんだで仲良くやっている。
圭人は正式に跡取りとして平家に養子にはいり、平圭人になった。
なぜ、父が会いに来なかったか理由を聞き、謝罪をうけた。
真美はK大は不合格だった。滑り止めで受けた私立のM大にめぐと通っている。
そして、佑介と同棲を始めた。
みどりは、守と同じ大学で相変わらずラブラブしている。
——お見合い法…この法律がなかったら、私は今でも本当の恋もできず、窓の外を見ていただけだったのかもしれない。
「佑介。おかえりー」
笑顔で佑介を出迎えた。
「ただいま、真美」
ギュと抱きしめキスをした。
2人照れながら笑う。
佑介のこの笑顔をずっと見ていたい。
大好きだよ。
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