第17話 窓の外
この1週間、教室ではずっと窓の外を眺めている真美。そこには2年の校舎がある。
—1年前
サササ——ッ
教室を風が通り抜ける。
ふと、3年の校舎を見た真美。遠くの誰かと目が合う。サラサラな茶色の髪。少し微笑んだように見えた。
ドキッとして目をそらす。
それから、何度か目が合うようになった。
3年生に会うことは滅多にない。学校の外でたまたま会うか、登下校中の中庭しかない。完全に遮断されている。1.2年生には遠い存在なのだ。
だけど、放課後似た感じの人がバスに乗るのを見かけた。
——茶色のサラサラの髪…。あの人に似てる…。あの人かな…?
バスが発車してこちらへ向かってくる。
窓越しの彼を目で追う。
キレイな顔…。
ドキッ!目が合う。彼は微笑んだ。
胸が熱くなる。
…あの人だ…たぶん…。いや、絶対!
教室からだと遠くてあまりよく見えなかった。でも、雰囲気はよくわかってた。
それから、いつのまにか彼を目で追うようになってた。
友達がいっぱいいて、いつも楽しそうでキラキラしてた。
でも、窓の外を見ている彼は少し切なそうだった…。
特進クラス
佑介も外を眺める。
去年あの教室からこっち見てたヤツがいた。
いつもつまんなそうにして、授業聞けよ!って思ってたけど、ある日目が合った気がした。なんとなく微笑んでみたら思いっきり慌ててるのがよくわかった。面白いヤツだなと思った。
顔はよくわからなかったけど、やっぱ目合ったんだって。
女なんか信じられない。お見合いなんかどうでもいい。結婚なんか絶対しないって思ってた。
元カノも忘れられず、前に進む事も拒絶して…。
そんなオレは彼女を見るとホッとするようになってた。
いつも同じ友達と話してる。きっと…周りに媚を売らない、自分を持ってる子なんだろうなぁって。ああいう子なら信じられるのかなぁって。
バス停で目が合った瞬間。この子が窓の子だって一緒にいた友達と2人の雰囲気でわかった。
そして、留年した最初のお見合いの日
——今年はあの子3年だよな。
名前は知らないけど、もし部屋に来たらなんて話そう…。
——あの人がいた…。なんで?留年?
平佑介って名前だったんだ…。
もし、あの人の部屋だったら…。
105号室
ビーッ。インターホンが鳴る。
——どーせ、つまんねー女だろ。少しからかってやるか。
ガチャ。「どーぞ」
こっちを見ない。
——なんか、デブとか宇宙人とか言ってるし!なんだこいつうける。
「いい加減こっち見ろよ!じゃないと襲っちゃうよー」
手を引いて無理に振り向かせる。
ドキッ。ドキドキと2人の胸の鼓動が速くなる。
——この子…。窓の子だ…。
——平…佑介…?
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