第7話 2人の距離

み「今日いないね。平佑介」

廊下から進学クラスを見て話す3人。

め「今日は留年組は大学の日みたいね」

み「大学も行ってるの?めぐは情報通ね。どっから仕入れてくんのよいろんなネタ。友達いないんじゃないの?」


め「いるわ!普通に話すくらいの人はね。ただ、みどりと真美みたいに仲良くしてくれてるわけじゃないよ。留年前に大学合格してる人は掛け持ち可能なのよ!就職にひびかないようにね!」

み「なるほど!真美はさっきから黙っちゃってどーしたのー?」

考え事をしていた真美の顔を覗き込む2人。


「あ。ごめん、ごめん。昨日の夜、一言も口聞かなかったからなんでだろうって思ってさ。1日目は結構意地悪言われたり笑われたりしたんだけど…」


「え、一言も??!!」

声を揃えて驚く2人。


「あ、うん。でも、ムリに話さなくていいからホッとした。てか、私いつもベッドに入った記憶ないのに、朝起きるとベッドにいてさ!寝せてくれてるみたい…」

恥ずかしそうに話す真美。


顔を見合わせるめぐとみどり。

み「優しい人じゃーん!服の乱れとか裸とかじゃなかったんでしょ??真美の寝つきの良さは異常だからね。どこでも寝れるもんね笑」

め「相手ってイケメン?そんな照れてさー!昨日全然はなしてくれないんだもーん!」


み「真美が人見知りなの気づいて気遣ってくれたんじゃない?気がきくヤツだな」


「え、そーなの?機嫌悪いだけかと思ったけど…」不思議そうに話す真美。



3日目の夜

ガチャ。「よー。今日そろーり出て行っただろ」


今日は、話しかけてきた…。

「また、寝てしまったようで…汗汗…」


「お前、警戒心とかないの?オレの噂聞いてんだろ。女とやりまくって留年したとかさ」


キレてる…。だって女にかまってる暇ないって言ったのあんただろー。

って言えない。

「だ、大丈夫です。噂は信じないので」


ドサッ!ベッドに押し倒された真美

覆いかぶさる佑介。

「ホントかもしれねーぞ」


え、ちょっと待っ…。

だんだん顔を近づけてくる佑介。

ドガッ!!

「ウッ、ウー。イッテー!」

お腹をグーパンされベッドの横でお腹抱え込む佑介。

明らかにキレてるご様子の真美様。


ゆ「お前、いきなり何すんだよ!!」

ま「何すんだはお前だろー!!ムリしちゃってさ!バカじゃん。そういう事は本当に好きなった人としかしちゃダメなの!あんただってそー思ってるから留年してんでしょ!」


キョトンとしてる佑介。急に笑だす。

「アハハハハハッ!やっぱ、お前おもしろいな。オレの事安全だと思って爆寝してっから、少しからかっただけだよ。バーカ!」


はー?なんだこいつ。腹立つなぁ。やっぱり気遣いがあると思えない。いいのは顔だけか!

「ちっ」

言いたいこと言ったので、舌打ちしかできない真美


「お前今舌打ちしたろ!」

「…」

「今度シカトかよ!お前女子じゃねーな!」


女子は実際こんなもんだわ。どんだけキャピキャピの女しか見てねーんだよ。


「寝る!!」

ベッドに横になり壁の方を向く真美。

「早っ!!まだ9時前だぞ!」

スー スー スー


寝てるし!調子狂うな。でも…おもしれぇな



そして、4日、5日と過ぎていき、だんだんと佑介に男友達のように慣れて言った真美。


そして、7日目の夜。


ガチャ。

「どーも!」

スタスタ部屋を歩きベッド横に寝そべりスマホをいじる真美。


「おいおい、おまえ男子の部屋きて速攻横になるなよ。おっさんか!慣れすぎだろ!」


ムクッと起き無言で近づく真美。

「てか、あんたさぁ、おまえ、おまえ言うなよ!あたしは深瀬真美って名前があるんだよ!年上だからって調子乗んなよ。ボケ!」


「はぁ?おまえだってあんたとかいうだろ!年下のくせに!オレの事は佑介さんと呼べ!」

腕を組んで見下ろす佑介。


「佑介さん?あははは!呼びたくないわ!

今日で終わりだし、明日から1週間は自分の部屋でゆっくりするんだもん」


あ、そーか…今日でワンクール終わるのか。最初は泣きたいくらいイヤだったのに、なんだかんだで居心地よくなってた…。

なんか、悪いヤツじゃないし、話しやすかったな。再来週、選んでくれるかな…。私のこと。


「何しんみりしてんの?寂しいのか?」

佑介がバカにしたように話す。


「別に!ただ、私はホントにイヤな奴には絶対に心開かないから。あんたはまぁまぁいいヤツってことにしとく」

恥ずかしそうな真美。


「お、マジで?人見知りだっていうから、どーやって心開かせようか考えた甲斐があったわ。オレの勝ちだな」

勝ち誇った顔で真美を見る。


はぁ?そんな事考えてたの?

やっぱヤなヤツじゃん。

「なにそれ。なにが勝ちだよー!ゲームかよ!」キレる真美。



「いい意味でな!おまえ見てて面白いから素が見たくてさ」

佑介が笑いながら言う。


「寝る!」ふて寝しようとする真美。

私の素って何。どれも素だよ。

「オレも日曜でバイトしてきて疲れてるから寝る!」



翌朝


「おーい!起きろー!遅刻するぞー!」

着替えてる佑介。


「ちょ、ちょっと着替えるなら、あたしが出てからにしてよ!!」

急いで部屋を出ようとする真美に


「じゃーな。真美」

と優しい声で言った佑介。


ドキッ。

「じゃ、じゃーね」平然を装う。

今、真美って…言った…。

ドキドキ。胸のドキドキが止まらない。


久しぶりに男子に名前呼ばれたから、ドキドキやばい。


それが恋なのか、ただの久しぶりの出来事にビックリしただけなのか、まだわからない真美でした。





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