第4話 2人の出会い

平…佑介…!?

なんで?

驚きを隠せない


「うそうそ。襲ったりしないから、そんな警戒すんなって」

そう言って手をはなした佑介。


「平 佑介さん?」

私はまだドアの所にいた。


「オレの事知ってたんだ。まぁ、あれだけ騒がれれば知ってるか。てか、いつまでそこにいんの?」

なんとなくイラついてる?


「名前は今日知りました。でもなんで1位なのに、誰も指名してないんですか??」


少し強めの口調で

「めんどいから。指名された子は彼女面するし。そういうのうざい。だから、部屋割り当てられたヤツと適当に過ごす。結婚前提とか無理だろ」


佑介の元へ歩み寄る

「だから、留年なんですか?」

緊張で声が震える


佑介は驚いた表情をしていた。

「なんで、知って…。そーか、お前オレと同中?まぁ、いずれバレることか。」


「ちゅ…中学違いますけど。きょ、きょ去年あなたを見たんです。2年の校舎から…。

イケメンが歩いているところを!そのサラサラな茶髪、高身長、その横顔!絶対あなたです!」

おどおどから急に強めの口調で話しだした。


ギョッ!引き気味の佑介。


ハッ!!我にかえる真美。

「あ…ごめんなさい。私、人見知りで。初対面の人とは緊張して…。うまく話せなくて…」

うつむく真美。


「あははは!ホントだな。大人しくなったり、急にキレキャラになったり、忙しいなおまえ!いつもはクール気取ってんのにな!」

腹を抱えて笑う佑介。

クール気取ってるわけじゃないし。顔を真っ赤にしてる真美。


半年前、みんなが相手探しに夢中な頃、何気なく教室の窓から3年の校舎を見ていたとき。みんなと和気あいあいと楽しそうに歩くこの人を。かっこいいなぁと遠目でもわかるくらいキラキラしてた。人気者だなと一瞬でわかったと同時に私とは無縁の存在だなぁと思った。


でも今、近くにいる。

でも、普通に話せない。なんでいつもこうなんだろ。特に男子とは話すのが苦手。


「おまえ、その辺座るか勉強しろよ。オレ、今から大学の方の課題やるから」


え?大学?「な、なんで大学の?」

ベッドの前に座る真美


呆れた表情の佑介

「オレ、頭いいからK大受かってたわけ。留年組は、大学と高校の週の半分ずつ両方通う事になってんの。3日分の課題出せば出席とみなされるだよ。だから女にかまってる暇ないわけ」


そ、そーかい。でも留年って大変そう。そりゃそうだよなぁ。センター試験の後に留年決まるわけだし。政府も考えてんな。

あーヤバイ。私、卒業も留年も無理だわー。

がっくし。


机に座って勉強を始める佑介

真美をチラ見。

考え事をしてがっくりきてる姿がおもしろかったようで。


くくくっ。あいつ面白いな。


とぼとぼ予習を始める真美。

はぁ。イケメンと一緒の方がキツイな。これならデブめがねの方が気が楽だったかも…。




チュンチュンッ(鳥の鳴き声)

んー、もう朝?今何時だ…

横を見る。


ギョッ!!とっさに起きあがる真美。

なぜか一緒のベッドで寝ていた2人。


え、いつのまにこうなった??しかもなぜ私が壁際?動けん。どーするまたぐか?起こすか?


「あ、おはよー」

目をこすりながら起きる佑介

「早く部屋戻らないと遅刻すんぞー。」


いや、待ってよ。何その普通な感じ。私あれから記憶無いんですけどー。


「もしかして、ベッドに運んで…くれ…ま」

ベッドの上で尋ねた。


「口開いて寝てるからうけたわ。

勉強しながら寝るなし。重かったわー」

冷ややかな目


「そ、それは失礼しましたー!」

真っ赤になって急いで部屋を飛び出た。


最悪。初日から醜態を晒すとは!!

でも慣れてんなぁ。寮2年目だもんね。


佑介

マジ面白いなあいつ。クスクス。




〜学校〜


おはよー!

昨日めっちゃ緊張したけど、無事1日目終了してよかったわー!

おれ、好きになっちゃうかもー!

オレ、微妙だったわー。


夜の話題で持ちきりだ。


「真美ー!どうしたのー?朝食来なくてさぁ。めぐがいたからよかったけどー」


めぐと2人で歩いてくるみどり。


「ごめん、なんか食欲なくてさ」

げっそり。


「心中お察しします」

2人顔を見合わせて声を揃えた。


コソコソ

み「相手悪かったな」

め「だね。ご愁傷様。私は以外と普通のヤツだったけど」


「こそこそうっせーよ!」ガルルルッー!!!


あの人と顔合わせづらい。クラス別でよかった。


「ま、1週間の辛抱ですわ。ガンバ。真美!」


「あー!平佑介だぁ。誰が泊まったんだろねー!」

みどりがめぐと話す。

「イケメンだよねー!でも、留年組って噂だよー!何人も女に手出したとかで」


「えー!ブス学校からの転入じゃなかったんだー!あんだけ周りに女いるし、やり放題か!」


噂、まわってたんだ…。そーだよね。あんだけ目立てば気づいてる人いるよね。普通。

バカだなぁ。私だけの秘密だと思ってたのに。

切なそうに遠くの佑介を見る真美。


目があった2人


はぁっ!とっさに目をそらす真美。

佑介遠くでキレる。

あいつ目そらしやがった


「教室行くよー!めぐ。あんたも教室入りなさい。てか、そんなの噂でしょ。私は噂は信じないからー」


「知ってますよー!自分で見たものしか信じないタイプだもんねー。真美は!

じゃ、またねー」


それぞれの教室に行く3人。

「めぐ、みどりと仲良くできそう?」

「えー、なんでー?いい子だよ!全然大丈夫」


「それならいいんだ。よかった。あの子も誤解されやすい子だからさ…」

優しく笑った真美。

キョトンと真美を見つめるめぐ。

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