第3話 運命の夜

とうとう授業が終わってしまった!

やはり、声をかけられる事はなかった。


先生

相手が見つからなかった生徒は保健室に来なさい。



トボトボ歩く真美。

そこへみどりがコソコソ近寄ってきた。

「真美、6時まで守くんとデートだから❤︎7時の夕飯のときにまたね。」


「はーい。じゃぁね」

いーな、みどりは。この恐怖を味わわないなんて。


〜保健室〜


保健の先生

では、これからランダムに男子生徒の部屋の番号札を渡します。夕飯後、身支度を整えて男子生徒の部屋へ8時半までに入ること。

いいですか!くれぐれも自分の部屋に閉じこもらないように。すぐわかりますからねー!

男子生徒の部屋へ入ったら自分の部屋の番号札をドアのキーの上に挿してください。

それでロックがかかり、廊下側のライトが消える仕組みになってますので、ライトが点いている部屋はチェックに入りますよ。

もちろん、当てられた部屋の番号、その部屋の生徒の事は他言しないように。規則違反は留年または、停学です。


マジかよー。さすがにきっちりしてるわ。


「ねー、あなた2組だよね?先約済かと

思ってたけど、いなかったのね」


そう話しかけきたのは、同じクラスの子。話したことはなかったけど、落ち着いててキレイな子。彼氏いたような?


「まさか!私に声かけてくるようなアホいないでしょ。それに、逆に当てられたほうが運命感じるし」


「確かにそうだよねー!でもさ、声かけられないヤツらが残ってるって事でしょ?ろくなのいないよー。私は付き合ってた彼に今日振られたのよ。最悪でしょ。で、ここに来たわけ。まぁ、一週間交代制だから、一週間の辛抱だね。

あ、わたし二宮めぐ。よろしくね」


「あ、わたしは深瀬真美。よろしく」


順番に札が配られる。次はわたしの番


先生

「はい。深瀬さんはここね」


105号室かぁ…。


「深瀬さん、今日夕飯一緒に食べてもいい?

私、ずっと彼氏といたから友達いなくてさ」

恥ずかしそうに話すめぐ。

なんか話しやすい子。

「いーよ。キャピキャピしてるヤツが一緒でもよければ。あ、それと真美って呼んで」


「ありがとう!うれしい。あたしもめぐでいいから!

じゃ、また後でねー!」



〜寮食堂〜


「真美ー!こっち、こっちー!」

手を振るみどりに歩み寄る真美とめぐ。


「あー、この子は同じクラスの二宮めぐ。一緒にご飯食べることになったから、よろしくね。

こっちは、みどり。幼稚園から一緒なんだ」


お互いに「よろしくねー」


食べながら

「えー!今日振られたの?ありえない。なんで?なんで?最低だね。その男」


「今日、声かけていい子見つけたんじゃない?私が1年のとき告ってなんとなく付き合ってた感じだったし。私のこと好きでもなんともなかったんだよ。2年近く一緒にいたのにね」


「めぐ、新しい恋探すならバイトしなよー!

校外に彼氏作っちゃえば、結構自由だよー!

でも、双方の親の許可とがっこの許可が必要だけどね」


おいおい、いくらなんでも早すぎるだろ。新しい恋。


「バイトかー!いいかも!でも、許可ないと8時半には男子の部屋に行かないと行けないし、学校終わってからの短時間で雇ってくれる所あるかなー?」


「切り替え早いなめぐ!」


あはははー!

楽しい時間はあっという間に過ぎて行く。

これから、どんな恐怖が待っているのか。


真美の部屋


お風呂入って、着替えて、歯磨いて、化粧水して。

よし。いざ、出陣!!

なにが悲しくてノーメイクで男子のところに出向かなくてはいけないかなぁ。はぁ。


ガチャ。ビーっ。あ、ライト消えた。ホントよくできてるよ。不正できないね。


そろーりそろーり。廊下を歩く真美。

105号室の前に来た。数分立ち尽くす。


あー、デブめがね、もやし宇宙人だけはやめてー!お願い!


勇気を振り絞ってドアのボタンを押す。

ビーッ。

ガチャ。ドアが開いた。


見れない。見れない。どんなやつ?


下を向いたままギュッと手を握りしめて一歩ずつ進んだ。


ガチャ?ドアが閉まる。札を差し込みロックがかかる。


「緊張してんの?」

優しい声。


「あなたはデブめがねですか?もやし宇宙人ですか?」

ドアの方を向いて下を向いたまま尋ねる真美。


「クスッ。なんだそれ。お前面白いな。

どっちも持ち合わせてるよ。俺。」


ひえぇー。マジかよ。デブめがね➕もやし宇宙人かよー。

どっちかならまだマシだったのにー。涙涙


「いい加減こっち向けよ。じゃないと襲っちゃうよー」

グイッ。

手を引っ張られ無理やり振り向かされた真美。


あー、もう観念しないと。恐る恐る目を開けた。


ドキッ!

澄んだ瞳…サラサラな茶色い髪…


うそ?平…佑介…??なんで?

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