第9話 理由
「ヴァハラか...?」
「お父さん…」
ヴァハラの父親は龍治の能力によって、全回復と言っていいぐらいに回復していた。
「俺は生きているのか?…」
「もうずっとベットの上だったんだよ。あ、あのねっお父さんこの方がスピリティを使ってお父さんを治療してくださったのよ。って...龍治さん、大丈夫ですか?」
「ごめん、ちょっと疲れが」バタン――――
龍治はその場に倒れてしまった。
「龍治さんっしっかりしてください!すごい汗、!」
「ヴァハラすぐに看護師の方を呼んできなさい。」
ヴァハラすぐに病院に事の顛末を伝え、龍治はすぐに検査を受けることになった。
*****
龍治は病院の個室で目を覚ました。
「ここは、病院か、」
「龍治君大丈夫?」
目を覚まして早々ベットの横にいたのはフィリィだった。ヴァハラが気を利かせてフィリィに連絡したようだ。
「気分はどう?心配したんだからね!」
「あぁ悪い、もう大丈夫だ」
(しかし、なんだか体が重い気がする。スピリティを使った反動か?)
「検査の結果、龍治の体には異常は見られなかったそうよ。お医者さんの見解だと疲労の蓄積によるものだって」
「そうか、それなら問題ないな。ヴァハラさんは?」
「今、お父さんの病室にいるよ。龍治君が目を覚ましたことは明日私から連絡しておくよ。今日はもう夜遅いし」
「夜?俺は何時間寝てた?」
「丸二日よ」
「そんなに気を失っていたのか」
「そうよ。でも何はともあれ、初仕事は見事に成功させたそうじゃない。そこは喜んでいいと思うよ」
「そうだね。スピリティの全容も大体理解できたし、人助けもできた。初仕事は成功ってことでいいかもしれない」
「詳しい話は退院したらゆっくり聞くわ。今日はここで休んだほうがよさそうだね。私は一度帰って明日の朝また来ることにするよ」
「わかった。フィリィにはもう頭が上がらないよ」
「なに言ってんのよ。まったく、それじゃまた明日」
そう言ってフィリィは病室を出ていった。
*****
「しかし、まぁ、俺のスピリティは厄介な代物だな。何が疲労の蓄積によるものだ。スピリティの発動条件は自分の魂を削ることだって事に気が付いただけでも、ラッキーだったな。正確に言うなら【寿命】が代償ってことか」
龍治は自分が倒れた原因をはっきりと理解していた。龍治のもつスピリティ『治療・再生』の発動条件は【寿命】を削ることだったのだ。
「これで、このスピリティがこの世界で希少価値があるってことも理解できた。おそらく、この能力の保有者は力を使い果たして命を落とす。それゆえに、この能力を持っている人間に出会える確率が少ないのか。仮に、持っていたとしても、それは公表しないだろうな。使っている俺たち当事者は寿命を削っている感覚をはっきりと認識できる。それを他人に使おうって考える人間は数少ないはずだ。なるほどなぁ」
龍治は自分のスピリティにをどうやって生かしていくのか、頭を抱えることとなった。
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