第7話 初仕事

「あのぉ...すみませんいきなりで、私は先ほど古場龍治様の鑑定手続きを担当したヴァハラと申します。」


ドアを開けたらさっき役所で受付嬢をやっていた女性が立っていた。


「あっ、先ほどはどうもありがとうございました。それで俺に何か用があるんですか?」


「はい...実は頼みたいことがあります。」


役所からやってきたというヴァハラという女性。見た感じ歳は俺と同じぐらいか、身なりはとても清楚で育ちがよさそうだ。口調も丁寧で、お嬢様って感じが体から溢れ出ている。そんな彼女が受付嬢をやっていることも不自然だが、それ以前にそんな子がなんで俺に。


「頼みたいこと?」


っと会話をしていると夜ご飯を買いに出かけていたフィリィが帰ってきた。


「??どちら様?って、さっきの受付嬢の」


(フィリィは人の顔を覚えるのが早いのか?)


「なんでも、俺に頼みがあるって」


「立ち話もなんでしょうから、中に入って話しましょう。」


三人は部屋に入り、買ってきた焼き肉をテーブルに広げ、飲み物を片手に話を始めた。

(フィリィはこの世界は技術が進歩してないって言っていたが、実際はかなり元の世界に近いぐらい技術は発展してるんじゃないのか?)

龍治はこれまでのことから、この世界の技術についてすこし違和感を感じていた。


「それで、龍治に頼みって?」


「はい。...龍治様の力を貸していただきたいのです。」


「やっぱり、そう来たか」

(だいだい予想はしてたけどな)


「詳しく説明してもらえる?」


ヴァハラは龍治の目を見て話を始めた。


「私の父はこの国の軍の兵士です。ムバクから逃れてくる数多くの人間を保護してきました。ですが、ある日の戦闘で重傷を負いました。意識はありますが、今は起き上がって自分の足で歩くことができません。一命は取りとめましが、話すこともできないのです。どうか、父を治してはくれませんか?」


「なるほど、」


「龍治君はが口癖なの?」


「そいうかもしれない。なんとなく話は把握したが、ヴァハラさんは俺のスピリティを確認してここに来たんですか?」


「はい...その点は申し訳ありません。勝手に人のスピリティを見ることは違反です。どんな罰でも受けます。」


「いや、俺が聞きたいことは、ヴァハラさん以外に俺のスピリティを見た人がいるのかが知りたいです。」


「断定はできませんが、おそらく私以外で龍治様のスピリティを確認することはできないと思います。」


「分かった。実は俺このスピリティをまだ使いこなすことができないんだ。でも、俺の力でヴァハラさんの力になれる可能性があるなら、助けてあげたい。」


「そうね、龍治君の初仕事だね。その力を使いこなしてみせてよ」


「引き受けて貰えるんですね、ありがとうございます。」

ヴァハラはその目に少し涙を浮かべながら、さっきまでとは違う表情で感謝の言葉を述べた。



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