第6話 職
「(治癒・再生)ねぇ、まさかこの世界で希少とされる能力の持ち主だったなんてなぁ、正直驚いたよ。でも、この能力を使いこなせれば、暮らしていけそうだ」
「そうね、龍治君の能力だったら仕事もすぐに見つかるかもね。」
龍治とフィリィはフィリィの自宅に向かって歩いていた。
「やっぱり、医者になるのが一番いいのか?」
「そうとは限らないね、あなたのそのスピリティは希少価値が高すぎるかも、どのくらの価値なのか分からないぐらい。それゆえ、そのスピリティを欲しがる人も多いはずよ」
「なるほど、命を狙われることもあるんじゃないかってことを言いたいのか」
「そうね、そのスピリティはなるべく人の前で見せないほうがいいかもしれないね」
「確かにそうだね、」
「とりあえず、今日は疲れたでしょ?私は明日職場に行かなきゃいけないから、朝起きたら迷子にならない程度に散策にでてみたら?」
「そうだね、それじゃ今日はお言葉に甘えてお世話になります。」
異世界にやってきて、一日が経つ。その時間の流れ方は龍治にとって不思議なくらい心地いいものだった。前の世界の記憶は覚えている。しかし、思い出してみると毎日同じことの繰り返しで、色のない記憶でしかないのだ。
(此処は居心地がいい。これから先のことが不安だが、それも新鮮だ)
「はい、あがって、そうだね~...申し訳ないけどこのソファーでもいい?」
「ありがたいです。なんか、身の回りのことまで」
「大丈夫!あっ、しまった~夜ご飯買い忘れた。私ちょっと買ってくるから」
「俺が行きましょうか?」
「いいよ、迷子になったら探すの大変だもん」
そう言ってフィリィは夜ご飯を買いに家を出て行った。
(今のうちにシャワーだな、それにしてもフィリィには感謝しないとな。まだフィリィのことについては謎が多いけど、彼女のことは信用してもよさそうだ)
フィリィのことや、今後のことについて考えながらシャワーを浴びていると、家の扉をノックするとが聞こえた。
トントン、トントン
(お客さん?出たほうがいいよな)
龍治は急いでシャワーから出て、服を着て玄関に向かった
扉を開けると、女性が一人そこに立っていた。
「こんばんわ、あの、私のこと分かりますか?」
「えぇ...っとフィリィの知り合いですか?」
「あのぉ...すみませんいきなりで、私は先ほど古場龍治様の鑑定手続きを担当したヴァハラと申します。」
フィリィの家の前にいたのはさっき役所で受付嬢をやっていた人だった。
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