第22話 転生話
――オレが転生したのは、12歳の時だった。
……そう、君らよりも幼い時にオレは
だけど、召喚の時期は君らの方が先さ。
……ああ、そこら辺は分かってないのか。
転生する2年くらい前にあったんだよ、突如として500人が行方不明になった『秋葉原集団消失事件』。今回、召喚された数って結構居るんだろう? 別に召喚・転生の時間軸がズレてるのは珍しい事じゃないから、気にしなくて良い。オレの知り合いには明治時代から召喚された奴も居るしね。
とにかく、オレは12歳の時に交通事故で死んだ。そしてこの世界に転生した。
転生っていうから、また0歳からやり直しだったよ。神様のご配慮か、記憶はそのまま持ち越しされてたんだけど。
だから余計にきつかったね。見知らぬ土地、見知らぬ両親に育てられるってのは違和感しか無くて気持ち悪かった。
まあ、精神衛生的には劣悪な環境だったけど……当時のオレは天才でね。
決して過大評価なんてしてないよ? 純然たる事実だ。
6歳くらいだったか……確か闇組織一個壊滅させたんだけど……ん? 5歳だったっけな? あれ、7歳? ……取り敢えず、幼少期からオレは強かったんだ。
オレもこれぞチート!! って思ってたよ。ステータスは成長しまくり、スキルは充実しまくりで、チートと呼ばずして何と呼ぶ状態だったしね。
でも、『本物』はまだ発現してなかったんだ。
18歳の時だった。その事は今でも覚えてる……いや、脳裏に焼き付いて離れないと言うべきか。
家の近くの魔獣を倒してレベルアップしたみたいだったから、ステータスを確認すると見覚えの無い固有スキルが増えてた。
誰でもだと思うけど、新しいものって試したくなるだろう? オレもご多分に漏れずそうした。
……因みに、このスキルは『
それの原型。
オレは、その名を唱えてしまった。
「――『
その瞬間、周囲が更地になった。
正真正銘、文字通りね。
このスキルは、オレに危害を与える物質全てを無差別に跳ね返す。
跳ね返すだけならまだ良い。
困った事に、何十倍、何百倍にもして返すんだ。
与えられる攻撃、投げられる小石、吹き荒ぶ砂嵐、磯の香りがする風、地を踏み締める時の反作用、太陽の紫外線まで、全てを。
奴は跳ね返して、その地をあっという間に地獄に仕立て上げる。
……しかも、オレの意志じゃ止められない。
奴はどこまでもオレから独立して機能してしまう。それが本当に厄介だった。
動けば最後。
問答無用で押し通る。
……当時のオレは、状況を受け入れきれずにパニクってね。
あろう事か、このスキルからの解放を求めて各地を
……ああ、その通りだよ。そんな事をすれば『
当然、オレが通った町は更地になった。ただ一つの例外も無く。
……病んださ。オレは何もしてないのに、オレが理由で、多くの人が悲鳴を上げて勝手に死んでいく。
町を訪れる度に舞う人体と
大人しく洞窟にでも閉じこもろうともしたんだ。
だが、『
引き籠もる場所すらも、奴は与えてくれなかった。
だから、現実を『拒絶』しようとした。
降り積もる罪悪感を『拒絶』しようとした。
……けれど、その行為さえも『
逃げ場を失くしたオレは心が崩壊して……気付けば最初に更地にした故郷に戻ってたんだ。
……今、オレ達が居るのがそうなんだけどね。
その時には、既に15個も町や都市を破壊してたらしい。
……自覚が無かったんだ。町を破壊するという行為そのものを『拒絶』して記憶に遺さない様に努めてたから。
――そこで、今の仲間に出会った。
同じくチートを持ってたからね。周囲に常時暴風が吹いてるオレの所まで易々と来て、手を差し伸べてくれた。
あの時は、年甲斐もなく泣いたなぁ……。
そいつはオレのスキルについて、色々と相談に乗ってくれた。そうしてやっと『
跳ね返す方向を外界に向けるんじゃなくて、自分の内側に押し留める。だから『
今でも『
もちろん、オレは無限に跳ね返す力を溜め込める訳じゃないから、定期的に放出……『
まあそんなこんなあって、その後、オレは恩人が創ったっていう組織に入った。
それが『
これ以上は長くなるから、一旦区切ろうか。
「――さて、これでオレの
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