3-1 豪腕①
「マスター、今日はどうだい?」
大柄の男が酒場のカウンターに金貨を置き、席に着く。
マスターはそれを受け取ると、いくつかの紙切れをテーブルへと置く。
「一応探してやったが、今のところはこの三つだな」
「ほう、今までの中では一番情報が多いな」
「あんたの熱意に免じてだよ、なんでそんなに探してるのか知らないけどよ」
「そんでもってだ、まず一つ目はみんなご存知のナイトマスター様だ。
今まで気にしたことすらなかったが、お前の言う条件の剣には合ってるぜ」
条件の剣というワードが出たところで同じくカウンターに座ってる男が興味を示した。
「面白そうな話してるじゃないのカイル。また例の剣探しか?」
「まぁな、相変わらず暇そうだなアーク」
「うるせえよ、お前が忙しすぎるんだよ」
アークと呼ばれた男がそう言いながらマスターに金貨を1枚渡す。
カイルが金払って俺が払わず話を聞くってのはフェアじゃないねと笑いながら言う。
「んで、残りの二つは?」
と尋ね、マスターが二人の席に酒を置いて話を続ける。
「二つ目はメタルと呼ばれる黒い甲冑を全身に纏っている奴が持っている剣だ。
こいつに関しては良い噂も悪い噂も聞かず、誰も奴のことを知らないからなんともいえねえな」
「へー、あいつも持ってるんだGの刻印がある剣」
「もう一つは?」
「こいつは信憑性が薄いが、今王国と戦っている魔族のリーダーが持っているらしい。
なんでもそのリーダーはいくつものの戦士団を壊滅、最近だと王国騎士団の一つを壊滅の寸前まで追い込んだってらしい。かなりやべえ話だけどな」
戦士団の壊滅、というワードにカイルは反応した。
アークもさっきまで陽気な雰囲気でいたが、その熱気も一気に冷めていく。
「マスターご馳走さん、たぶん今回のあんたの情報、かなりいい線言ってたと思うぜ」
「ああ、その通りだな。マスターありがとう、また頼りにさせてもらうよ」
と言い、酒には手をつけず金貨を更に追加で置き、店を後にした。
「団長さんよ、奴は一体なんでジャイロの剣を探してるんだ?」
「数年前、あいつの戦士団は一人の剣士と戦って全滅したんだ。そいつが持っていたのが、ジャイロが作った剣なんだ」
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