これが…

「イテテテテテっ」

俺はミーアに引っ張られながら

大型ショッピングモール「さくら」

の中を走る

ミーアは楽しそうだ

普段 といっても出会ってまだ1週間程度

彼女はまだ笑顔を見せたことがない


無愛想な子だなと思っていた

同じ家で過ごす間柄

仲良く出来るか若干不安だった


俺の思い過ごしだったみたいだ…

彼女は今 凄く楽しんでいる


(でも、なんで無愛想だったんだ…?

笑う顔はこんなに可愛いのに)


自分の笑顔がコンプレックスという人は流石にいないと思うが目の前の少女が

そうではないと言い切れる確証はない


しかし、その心配は必要なかった

「次はあちらへ行きましょう!」

俺の服は依然として掴まれたまま

少し高そうなお店へ引っ張られていく


流石に居心地が悪いな…


俺の住んでた異世界でも

ここまで華奢な所はなかった

故に緊張してしまう



「どうですか?」

試着室から出てきたミーアが聞く

試着していたのは黒のスカート

(ロリスカート…いい…)

何故そんなことを考えてしまうのか

やはり男子高校生だな…


もっとも 俺にそんな趣味はない


俺は黒髪ロングを愛する男

だが、ロリも捨てられない

しかしミーアの胸もまた

ロリを彷彿とさせるサイズ

Aなのだ…

苦悩(勝手に)している俺に

感想はまだか という表情で見てくる

俺は言葉を選びつつ慎重に応える

「いいんじゃないかなミーアらしくて」

〇〇らしい

これさえ言っておけば勝ち

という部分がある


よほど気に入ったのか

早速レジに持っていく


ん?この店は…


俺は最初にこの店を見た感想を思い出す

「ま、待て!」

時既に遅しお寿司

店員にスカートを渡したミーアが振り向く

(まだ希望はある…)


俺が何に悩んでいるのか


ズバリ値段だ


すごく高そうな店の中に置いてある

すごく高そうなスカート


俺は少々汗をかいている

(デートって…男が払うんだよな…?)



まずいまずいまずい


(これで10万とかでてみろ?

俺はレジをぶっ壊す)


俺は拳を固く握った


店員が言う

「15万5千円です」


(Oh!yeah!beautiful!foooo!)



颯馬は目の前が真っ暗になった…



いかんいかん

俺はレジをぶっ壊しに…


俺の目に映ったのは

ミーアが迷いなく鞄の中から

カードを取り出す様子だ

しかもブラックカードで




(YES!OH!MY GOD!)




「一回払いで」



なんだこの少女

財力の塊なのか?


「ミ、ミーア それは誰のカードなんだ?」

俺は叫びそうになる気持ちを抑えながら聞く

「これは、父のです

毎月100万までは自由に使え

と言われてます」



(ファ??????)


毎月100万なんて使い切れねえよ…


どうやら彼女はとんでもなくお金持ちのようだ

しかしながらデートで彼氏役にもなる俺が

一円も払えないのは面目ない


とてもとても居心地が悪い



「早く出ようぜ

腹減っただろう?

飯でも食いにいこーゼー」

(動揺すんな俺…)

俺の頭の中は整理がついていない


無愛想で

お金持ちで

ロリで

Aで…




俺の思考回路はぐちゃぐちゃだ


「そう言えばお腹がすきました…

さっき見た洋食にしませんか?」



「あ、ああ そうだな…」


やべえ

頭が…


促されるままに俺達はレストランに入った

平日ともあってか空いていた


俺達は窓際の席に座った

ウェートレスが来て注文をとる

俺はオムライスを

ミーアは特大ハンバーグ大盛りセットを


(どっちが男がわかんねぇな)

明らかに俺の頼んだものより3倍ぐらい

量のある料理をさらっと頼む


このロリ女体のどこにそんな大きい胃袋が

あるのか…

また頭がぐちゃぐちゃになる…



……………


お互い特に話すこともなく

気まずい沈黙が流れる


(とりあえず…話題を…)

俺は気軽に聞く

「ミーアちゃんって無愛想だと思ってたけど

意外と感情表現豊かでイメージが変わったよ」

ミーアは俯く

黙ったまま



…………


(なんで答えねぇんだよ…

なんかまずいこと言ったか?俺)


「い、いや独り言だから気にしないでくれ…ってな あはは…」

独り言ではない

しかし、これ以上気まずい空気が流れるのは

もう勘弁だ


「やっぱり私は無愛想でしたか…

すいません…」


彼女は気にしていたようだ…

(やらかしたー!俺 彼氏役失格だな…)



「私 無愛想だとは思われたくありません

でも、無愛想じゃない接し方が分からないのです…」


なるほど無愛想な態度が無愛想を進化させるんだな


俺は一つ学んだ


「ま、まあそういう人もいるさ

俺でよければ相談に乗るぞ…?」


俺は気さくに言う


「私…中学校時代は虐められてました

チビ 内気 可愛くない 喋らない …と

全て私のコンプレックスなのに…」


少女から告げられたのは

辛い過去だった

(俺…聞いちゃいけないこと聞いたような…)


「大変だったな…」


俺は静かに呟く


「私だって…私だって分かっているんです!

自分がチビで内気で誰とも分かり合えず

クラスで孤立しているって…

でも、孤立してしまうと…

もう…元には戻れない…」


彼女は涙ながらに訴える


「そうか…」


俺も もらい泣きしそうになった



(言葉…選ばなきゃな…)


「すいません…自分から誘ったデートなのに…こんな話…」


彼女は申し訳なさそうに言う


「いや、いいよ

誰かに言うってのはとても大事なんだ

俺が力になってやるよ…

ミーアちゃんをいじめる奴は俺が

ぶっ飛ばしてやる

これでいいだろ?

ミーアちゃんは笑顔を見せてくれればそれでいいんだよ」


彼女は再び泣き出す


(え?なんで泣く?俺 またやらかした?)


俺は必死に弁解しようと言葉を振り絞る


「ま、まあ その…」


(だめだ…何も考えらんねぇ)


このデート…終わった…


そんなことを考えていたのだが

彼女の一言でその考えは覆る


「ありがとうございます…

颯馬さんが ルームメイトで良かった…」



俺はオムライスを食い

ミーアは特大ハンバーグ大盛りセットを

ぺろっと平らげて店を出る


「美味かったな…腹いっぱいだ…」


「そうですか…?

私は腹4分目ぐらいですが…?」


(マジかよ…この少女恐ろしいな…)


男より食う女ってどうなの?

しかもこんなロリ少女が…



また頭がおかしくなった…



「何やら騒がしいですね…」


「あ、ああそう言われてみれば…」


考え過ぎていて周りが見えてなかったが

確かに騒がしい



人が集まっていた

と思いきや急に悲鳴をあげて

逃げ始めた



人が去った時俺達は信じられないものを目にする




明らか 人ではない怪物が

いたからだ


「ば、バケモノ…」


少女が身構える



俺はその怪物に見覚えがあった


「あれは…異世界のモンスターだ」


「異世界…ですか でも、何でここに?」

口調はいつもと変わらないが

表情を見るに緊張している


「異世界と地球はゲートによって繋がれている…こいつらはたまにゲートを勝手に通って

こっちの世界へ来るんだ」


そう…

俺はこいつらと闘っていた


5歳ぐらいの頃…



余裕であっただろうか

《千刃》をもつ俺にとっては何歳だろうと

簡単に仕留めることが出来た


このモンスターの名は「ミラクス」

スライム状の体に角が二本生えている

打撃は効かない



俺は剣で斬るだけで倒せたので

遭遇しても不利ではない



しかし、俺の隣には震えた少女がいる

始めて見たのだろう

異形なるものを…


スライム状のモンスターは

俺達を見るや否や

襲いかかってくる



突進は良けれない速さではなかったので

避けた


二人とも避けたはずだった…


「うわぁぁぁ!」


少女が悲鳴を上げる


見れば 横腹を角で抉られていた


緊張でスキルの瞬間移動を発揮出来なかったのだろう

かなりの血が出ている

「ミーア!!」

俺は叫びながら少女に近づく

「来ては…ダメです…」

彼女は指さす方向には2体目のモンスターが


俺は反応しきれず両腕で突進を防ぐも

30メートルくらい飛ばされた


(なんて威力だ…)



ゲートにはある程度バリアが貼ってある

弱いモンスターは通れない

俺が見た「ミラクス」も

通れなかったはずだ


しかし、俺達の目の前には「ミラクス」がいる


(一筋縄ではいかないな…)




「ミーアちゃん…

俺に任せて欲しい…

ちょっとだけ我慢してくれ…

すぐに終わらせる」


そう言って俺は剣を作り出す



「俺の怒りを!

«怒轟剣 オーガソード»!!!」


怒りに染まった剣が俺の手に現れる


「ミーアちゃんの敵を取らせてもらうぞ」


俺は怒りの剣を手に少女を傷付けた

「ミラクス」を睨んでいた…

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