絶望の日常

夢中で走り続けようやく着いた

本校舎体育館 入学式が行われるところだ

「だいぶ走ったねぇ〜汗かいてない?

汗臭いとかごめんだよぉ?」

相変わらずゆっくりな話し方だと思う

しかし金髪であり名前がフィール

ということは明らかに外国人だ

外国人でこれだけ達者に日本語が話せるのはすごい と思う

そんなことをぼんやりと考えていたが

入学式開始の時間が迫っていることを思い出し俺達は慌てて体育館へ入場した

体育館へ入るやいなや俺達は鋭い視線を浴びせられる 入学式開始ぎりぎりに入場したこともそうだが二人のうち片方はナイスバディ金髪美少女だったからだ 視線が痛い 特に男子からの

恐る恐る席へ着くとざわめきは収まり、

入学式が始まった

例によってが聞く必要がない話を延々と聞かされ 周囲は倦怠感に包まれていたが、

フィールだけは元気だった

理事長 来賓 祝文 祝電 と終わり 最後に

今年入学した生徒のランク分けが公表される

「今年も未来ある優秀な生徒が入学してくれたこと 心より嬉しく思います それでは

ランクとその人数を公表致します

今年は入学者21名そのうち神クラスは2人

2人とも教師職を選ばれましたので

正式に採用いたします」と言うと

後ろから二人の生徒が出てきて緊張の顔つきで恭しく頭を下げている

いくら高校生とはいえ、やはり大人数の前に立つのは緊張するのだろう

一人は眼鏡をかけた大人しめの少女

スキルは「大魔道の心得」で

大体の魔法は詠唱せずに使えるらしい

もう一人は中性的な顔の男子生徒

スキルは「身体能力が∞倍」らしい

このスキルはデコピンを弱く打つだけで

震度10の地震が起こるらしい

迂闊に触れるととんでもない事になりそうだ

と思う

二人の生徒の紹介が終わると

ランクごとの人数が発表される

「Cランク 5人 Bランク 4人 Aランク6人

Sランク 2人 SSランク 1人 SSSランク 1人

なおSランク SSランク SSSランクは同じ教室分けとなっておりますのでご了承ください

以上で舞原高校 入学式を終わります」

やっと終わったか 合計すると2時間ぐらいだった 大半の生徒は疲れが表情に出ているが

やはりフィールだけは笑顔でいる

この少女はすごいと思う

Aランクの教室は3階にある

階段を上り教室に入ると

2年生 3年生は談話をしているが

1年生は緊張で俯いている

無理はない

入学早々 自分より年上の人と同じ教室にいるのは緊張するものだ

今年入学したAランクのうち俺とフィールを除く4人は既に着席していた

俺達も後ろの2席が空いていたので隣同士で座る

突然教室のドアが開く 先生が入ってきた

頭はアフロ 両耳はヘッドホンをしており

手にはDJが使うスクラッチを持っていた

「ヘイ yo! レディース&ジェントルメン!

俺っちはこのAランクの担任 人呼んで

はた迷惑なDJ こと 桐山だァ! よろしくぁ!

」はた迷惑って こいつ何したんだ

2年生3年生は慣れているからか

指笛を鳴らす者 盛り上げる者と様々な生徒がいた 1年生は困惑している

「yo!まずは1年生の自己紹介と行こうかァ?

前から順にどうぞぉ!」展開が速すぎるが

自己紹介するだけだ

生徒が一人立ち上がる 赤い髪を後ろで束ねた

道場出身の女子 名前をミエラ と言った

次に生徒が立ち上がると 目を引いた

以下にも外国人 しかし日本語はペラペラで名前は ネネ と言った

それから俺 フィール あとの二人 と自己紹介は終わった しかし気づいたことがある それは今年入学したAランクの生徒は俺以外女子だということ とりあえず ぼっち確定だなと思った 今は仲良くしているフィールだがいずれは女子グループに入ることだろう 俺は仲間はずれにされる

俺の目的は異世界に行くことだが

一人で過ごすのは寂しいものだ

しかし 先生の次の一言で俺は更に先が思いやられることになるそれは

今年入学した生徒は全員同じ家に住むらしい

家 といってもシェアハウスみたいなもので

人数分の部屋とリビング キッチン 大浴場まで完備している という夢のようなところだ

夢…実際はそうではない

さっきも言ったが俺以外は女子

つまり男:女=1:5で過ごすことになる

2年生3年生の男子からの視線が痛い

(なんか俺この学校に来てから視線だけが

刺さっているな…)特にどうということではないが明らかにおかしい

なんかこの学校俺に厳しい

突然のシェアハウス しかも男子は俺だけ

前途多難とはまさにこの事だろう

俺は無事にやっていけるのだろうか…

そんな不安とは裏腹に俺はニヤついていた…

若干ハーレムだ そんなことを心のどこかで思っていた…

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