第三章 〜犯せしものを打ち砕け〜

第17話〜我等の海。犯せしものを打ち砕け〜

会議開始早々、部屋の空気は重い。

ここは大東亜帝国 東京市の

大東亜帝国議会第七会議場だ。

ここでは最近出現し始めた霧の艦隊

の所属である、艦隊、東大東亜方面艦隊

への対処法を話し合っていた。

結果として決まったことは

新作戦を発動させ、海域の解放を試みること

可能であれば、アメリカン合衆国

へ行くための中間海域である

太平洋に出現した太平洋方面艦隊を

アメリカン合衆国と共に殲滅すること

が決定事項として挙がった。

よって、新作戦が発動される。

作戦名は第一海域解放作戦。


───第一海域解放作戦を行うに際して

参加艦艇が集められ、出航の準備が

進められていた───


艦隊は一路、東大東亜海を目指し、

足早に向かう。

海戦の始まりは突然だった。

旗艦である超兵器戦艦 「大和」の

超大型レーダーが霧の艦隊を察知。

直後に大和は第一第二第三主砲塔を

回転させ、砲撃を放つ。

噴煙とともに、とてつもない空気の振動

空間が歪むのではないかと思うほどの轟音

実の所大和の砲撃はこれが初めてだった。

この時に大和の艦長が発した言葉がこれだ


───此処は我等の海。

犯せしものを打ち砕け───


数秒後大和の砲弾は敵艦に

吸い込まれるように着弾

激しく燃え上がり軈て沈む

それに負けじと護衛艦艇や戦艦などの

大小様々な艦艇で編成された

大東亜艦隊は攻撃を開始

彼方此方で砲声が響き

徹甲弾の飛翔音が奏でられる

相手方からも白煙をたなびかせ

飛翔してくる多数の誘導弾

大和と武蔵は指向性レーザー兵器を使い

誘導弾を撃墜しようとする

敵旗艦は戦艦ネルソンを模した艦艇だ

前面主砲集中方式を採用しており

T字戦や同航戦であれば火力面で有利に

戦うことが出来る

しかし、背後からの攻撃には対応が出来ない

さて、戦艦ネルソンを模した霧の艦艇は

後部甲板のVLSを解放

あっと言う間に白煙に包まれる

それと同時に主砲を回頭させ

四連装砲三基を炸裂させる

甲高い飛翔音を放ちながら

大東亜艦隊に反撃を仕掛ける

その横を航行する航空母艦

フォーミダブルを模した航空母艦

その横を航行するのは

ヴィクトリアスを模した航空母艦

また、イラストリアスを模した航空母艦も

並んで航行している

この3隻は不気味な塗装のF35らしき

戦闘機を発艦させる

合計253機を発艦させて対空陣形に移行する

このネルソンとイラストリアス級を

取り囲むのがクラウン・コロニー級を

模した軽巡洋艦12隻と

ケント級を模した重巡洋艦7隻だ

この合計19隻はネルソンのVLS解放と

同時にVLSを解放、攻撃を開始する

それを更に取り囲む駆逐艦は

クルセーダー級駆逐艦を模した24隻と

ディフェンダー級駆逐艦を模した23隻が

配置してある

駆逐艦らは大東亜艦隊側は魚雷発射管から

魚雷を放ち砲撃を開始

逆側の艦艇は対空警戒していた

このような艦隊が戦闘海域に

2つ配置されていた

それぞれ

戦艦1航空母艦3重巡7軽巡12駆逐艦47で

編成されている

現状 大東亜艦隊が相手取っているのが

東大東亜方面艦隊第三艦隊である

さて、第三艦隊の攻撃に対して

大東亜艦隊は大和による対空三式弾に

よるVLS誘導弾撃墜と

その他護衛艦艇によるVLSと必死の

回避航行により対処

反撃として大和 武蔵 信濃 紀伊の

4隻による砲撃を連続で食らわせる

護衛艦艇の重巡洋艦奥多摩型の奥多摩

白丸 鳩ノ巣 古里 川井 御嶽 沢井 軍畑

二俣尾 石神 日向和田 宮ノ平 青梅

東青梅 河辺 小作 羽村 福生 牛浜 拝島

昭島 中神 東中神 西立川 立川の

25隻が砲撃と共に雷撃開始

中心付近を航行する航空母艦

赤城型航空母艦の

赤城 天城 安城 葛城 宇城 稲城の6隻が

F39型戦闘機を発艦させF35ぽい

航空機を迎え撃つ

合計機数は658機

轟音と共に聞こえるのは戦意に溢れた声

彼らが上空で接敵するのは

あまりかからず瞬く間に空中戦が始まる

F39型戦闘機は14機で一つの編隊を

形成し敵機を遊撃せんとす

F35ぽい航空機は23機で

一つの編隊を形成し進撃してくる

航空戦の始まりは航空母艦安城所属の

第2航空隊が対空炸裂弾を発射

続けて同艦所属第1航空隊が

探乱紙載弾(チャフ)と閃乱炸裂弾を発

敵編隊の錯乱を狙う弾速は

対空炸裂弾が一番遅く探乱紙載弾が

一番早く着弾

レーダー類を故障させる

その次に閃乱炸裂弾が炸裂

激しい閃光で視界を塞ぐ

回避行動取れぬまま

最後の対空炸裂弾が着弾する

これにより付近の航空機は落とされていく

航空戦第一波は問題なく

切り抜けることが出来た

続く第二波や第三波は多少の損害が

出てはいたが問題なく切り抜ける

しかし第四波は敵編隊の編成や

進撃ルートが変わり対応しきしれず

敵編隊が味方艦隊に到達

これにより日向和田 東青梅 東中神が被弾

その他の艦艇にも損害が出た

これに対し大和 武蔵が艦砲射撃を開始

敵前衛部隊である駆逐艦隊に対し

高火力を叩きつける

大和と武蔵の艦砲射撃により

切り開かれた敵主力艦隊への道

この道を駆逐艦と軽巡洋艦を引き連れ

信濃と紀伊が強行突破を図る

これにより敵主力艦隊の中心部に到達

後衛の敵航空艦隊1個と駆逐艦隊2個は

撤退を始める

それを逃がさんとばかりに高速であること

で有名な奥多摩型護衛艦12隻による

追撃戦が始まる

一方後衛に位置する航空艦隊は

第五次攻撃隊の発艦準備を進めていた

ふとその時 護衛艦西立川が異音に気付く

その報告は直ぐに航空母艦にも伝えられ

対潜警戒陣形を組み潜水艦の襲来に備える

徐々に異音は小さくなり反応も消える

通り過ぎたかと思い対潜警戒を解こうとした

その瞬間…白い航跡が周囲から迫る

一瞬後にはその航跡は四方八方から現れ

回避行動が困難となる

一瞬間後後衛の航空艦隊及び

護衛艦隊は全艦が損害を負い航空母艦や

護衛艦が轟沈する

この報告も直ぐに主力艦隊に

通達され怒りに震える

信濃と紀伊による敵主力艦隊切り込みは

無事成功し敵主力艦隊は総崩れとなる

また後衛の敵航空艦隊は護衛艦隊の

追撃により全艦を撃沈

しかし旗艦であるネルソンを

模した戦艦が見つからない

航空機による偵察は出来ないため

あちらこちらに艦艇を放ち

敵旗艦の捜索を行う

そう時間もかからないうちに

敵旗艦を発見 通報した護衛艦軍畑は

通報後に主力到着までの時間稼ぎ

つまり遅滞戦闘を行う

軍畑の艦橋もといCICでは怒号が

飛び交い指示が錯綜する

主力が到着する時には軍畑は中破判定

機関部の損傷により自力航行不能

曳航しようにも戦力を割けず

主力到着後も敵旗艦に集中攻撃を受ける

集中攻撃により出火が相次ぎ軍畑に

総員退艦命令が出され僚艦などに

乗組員が救助された

軍畑乗組員が全員救助された所で

敵旗艦に衝突 大爆発を起こし爆沈

それに対し敵旗艦は諸共せずに速度を

下げずに航行

突如敵旗艦が回頭

外見では有り得ないほどの速度を出し

離脱を図る

エンジン音を轟かせ40-50kt程の

速力で駆け抜ける

煙突からは黒い煙ではなく

霧のような白い煙が出ている

白煙は消えず海面に漂う

漂う白煙は徐々に濃くなりネルソンの姿が

見えなくなる

索敵するため全艦はレーダーを

フル稼働させて探すが

白煙による電波攪乱により索敵不可能

目視による索敵に移る

各艦は集結しネルソンの消えた方角に

艦首を向け航行

対空見張り所には船員が双眼鏡を

構え見える筈も無い先を見る

と────激しい閃光が瞬き艦隊の端部

から爆発が連続していく

中間部分に達すると砲撃音が轟き

刹那、徹甲弾が炸裂

対空榴弾系列の徹甲弾のようだ続いて

激しい閃光を放ち飛んでくるのは照明弾

徹甲弾と照明弾を交互に放ち視界を塞ぐ

護衛艦は速射砲(主砲)を前方に

適当に放ち抵抗を図る

前部甲板のVLSを解放適当に放つ

長魚雷を手当り次第に撃ち

弾着の瞬間を待つ

しかしその瞬間は永久に訪れない

長魚雷を放った3秒後に先程の艦隊の

端部から中間部まで全滅させた

あの閃光がまた輝き艦隊に到達


─────そして誰もいなくなる─────


艦隊が沈黙し乗組員に生存者は居ない

正確には大和、武蔵、信濃、紀伊は、先に離脱。情報を持ち帰ることを艦隊司令部から命令された為だった。命令の内容としては、「大和、武蔵、信濃、紀伊(以下、4隻と表す。)の帰還を優先させ護衛艦は盾として利用すべし。護衛艦全滅は認めるが4隻のうちの1隻が欠けるのも認めず。その場合、艦隊所属の乗組員の全員を降格処分とす。」と言われていた。有り得ない指示である。この指示は後に大批判を受けることになる。これは大東亜大騒乱に更なる影響を及ぼすことになった。この非道なる命令は後の時代にも史上最悪の命令として語り継がれた


次回予告

「攻撃戦だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る