第16話〜民衆の闘争〜

──先日、アルナード戦線を名乗る

過激派集団がカルス公国所属の護衛艦

シュトゥットガルトを占領し、縦須賀市役所

が破壊される事件がありました。

これに警察は艦内鎮圧を行い、

シュトゥットガルトを確保

アルナード戦線戦闘員と主犯格の男を逮捕しました。

アルナード戦線はこの犯行に対して───


呆れた顔をして、テレビを消す男がいた

年齢は20代 しかし白髪が目立つ

ストレスが多いせいなのだろうか


呆れた顔をして発した第一声は


「この期に及んで馬鹿する奴等もいるのな…ほんっと気が滅入るよ…」


肩を竦めてみせる。


「いちいちうるさいわねぇ…」


ふと、その言葉に返す少女がいた。


歳は10代半ばくらい、白髪男の妹だろうか

顔は整っており茶髪の髪を後ろに自然に

たなびかせている。


「そりゃ滅入るだろ!」


などと言い返してみる。


「まあねぇ…市役所爆破とか狂気の沙汰よねぇ」


この二人はライヒ帝国出身の研究者だ

研究者としての適性が認められ、先進国であるグロネミス帝国でHKMの開発をしていた

帰国後、HKMの技術を応用し、心血元力型生体発熱式機関二式を完成させた

これによりライヒ帝国の主力艦の主動力はHKMになった

その兄妹学者はHKMの技術投与のため大東亜帝国に派遣されていたのだ

しかし大東亜帝国の状況が危ういため帰国命令が出ていた


「それにしてもどうやってライヒに帰るの…?」


「中華共和国に渡らないことには始まらないな…嗚呼…胃が痛くなってきた…」


もともと胃痛に弱いらしい


「どう行くのよ…まさか船…?」


「それしかないだろうな…飛行機はそもそも飛ばないし…」


「まるで昔あった朝鮮帝国からの脱朝ね」


「ああ…そうだな…でも重圧は権力からじゃないけどな」


「どちらにせよ、厄介だね」


「とりあえず今日の夜向こうの大陸に渡る準備をしておけ」


「わかった 急いで荷物まとめるわ」



同日夜大湊港にて…



「お待ちしておりました エカチェリーナ様 ヒッペル様…」


「お出迎え御苦労様ティーゲル」


「それでは帰りましょうこちらの船にご乗船下さい」


「手荒な道中となりますがお許しを…」


そういった瞬間一気に船は加速する

そのままの勢いで中華共和国に渡った

その後はシベリーヌ鉄道で大陸を横断

無事ライヒ帝国に帰国した

帰国する前ヒッペルはこんな手記を残していた


あの国は団結するには時間がかかるだろう。改めてくる日は何時なのだろうか。世界に平和が訪れた日かあるいは焼き払われた日なのか。そもそも彼らが団結しないと世界は救われないのだ…と


次回予告

「我等の海。犯せしものを打ち砕け」

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