第13話〜霧の出現〜

北方海域を航行するカルス公国の輸送船「ミルトル丸」「ゲルス丸」「デルニア丸」「レーヅ丸」「ガルェル丸」そして護衛艦の「カールスルーエ」「シュトゥットガルト」「ヴィルへルマ」の以下8隻が大東亜帝国を目指していた。

旗艦の「シュトゥットガルト」の

艦長のガジェット・スルテン一等大尉は

眉間に皺を寄せて奇妙な光景に対して思考を巡らせていた。

「この時期は、霧が出ないはずなのだが…おかしいな…」

すると横にいる副官が

「司令。なんだか、変じゃないですか?」

とスルテンに尋ねる。

「そうだな…何故霧が出ているのだ…?」

「なんだか不気味だな…」

誰かの声が聞こえる。

その声の主の懸念は的中してしまう。

その発端はレーダー監視班からの報告から始まった。

「先程からレーダーにモヤがかかっている様になってしまいました…4隻しか検知できてません…!」

と、青ざめかけた顔で報告をあげる。

「なんだと?レーダーの強度を上げろ。そして、後続艦に伝えろ。艦隊速度増速ス 我ニ続ケ 以上」

「了解しました!繰り返します 艦隊速度増速ス 我ニ続ケ 以上!送信します! 」

と通信係が声を張る。

─────暫く何も無く静かな時が流れる。

刹那。遠くから爆発音が響き、周囲に水柱が乱立する。断片が飛び散りカールスルーエが損傷を受ける。直ぐにレーダー強度を最大に上げると、そこには10個ほどの反応があった。スルテンは直ぐにこの海域を離脱することを指示し、艦隊は出せる限りの速度で撤退をする。

追ってくるかと予想したが追っては来なかった。

それから三日続けて輸送船やタンカー、艦船が襲われたという知らせが多く届いた。そして、全ての証言に共通するのは「霧が突然現れた時に現れる」である。船乗りや人々はこれを恐れ、霧の艦隊と称した…

これにより、資源や食料を輸入に頼る国々のシーレーンが分断されたのだ。ただ、現状出現が確認されているのは北方海域のみであり、拡大を抑えることが、軍の役目となるだろうと考えられていた…


次回予告

「大東亜大騒乱 前編」

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