第9話〜アマテラス作戦開始〜
出撃直前、アマテラス作戦参加機にはフォーリン部隊と命名され、それぞれ護衛機にはフォーリン1、フォーリン2、フォーリン3と名が付けられていた。そして爆撃機にはアマテラスと付けられている。
「ナイト1よりフォーリン部隊へ通達。全機左へ旋回せよ。5分後作戦を開始する」
管制機からの指示である。
「フォーリン1了解。フォーリン部隊左へ旋回!」
と言うと、全機左へ旋回する。しかも一糸乱れず動きである。
「フォーリン2からフォーリン1へ作戦開始まであと何分だ?」
2番機からの無線である。
「フォーリン1から全機へ。作戦開始は今から五分後だ。」
「了解。」
と続いて返答が。
5分後…
「これよりアマテラス作戦第一段階を開始する。アマテラス!コンピュータウイルス送信開始!」
と一番機が命令すると爆撃機を中心にして護衛機が周囲を取り囲む。ごく一般的な護衛方法だ。
「ナイト1了解。幸運を!(good luck!)」
と管制機から申し訳程度の言葉。
「コンピュータウイルス送信開始。送信完了まで30!20,15,4,3,2…」
と送信完了秒数を読み上げる。が、
「ナイト1から各機へ!60の方角より敵機接近!数は…80!」
と絶望に満ちたような声で叫ぶ管制官
「くっそ!運が悪かったか!」
と3番機から聞こえる
「ウイルス送信完了!」
と爆撃機の通信士から発せられるすると、
「了解!直ちに帰投せよ!こちらから遊撃部隊を上げる。無事に帰投してくれ!」
と管制官が叫び、
「了解した!全機我に続け!帰投するぞ!」
その掛け声とともに全機180°旋回して、帰投する。上で航空機が舞う中、付近の陸上部隊が敵機撃墜の為に砲門を空に向けていた。
「これより、攻撃を開始する!全車、レーダー補足次第攻撃を開始しろ!指向性エネルギーレーザー対空砲の威力を見せてやる!」
「了解!油断するなよ!」
と勇ましい声が聞こえる。
「敵機レーダーに移りました。撃ち方初め一ーー!」
と声が途切れぬ内に彼方此方から、独特の音を放ち、何本もの光の筋が空を照らす。これに当たった敵機は次々と落とされていく。人類側の初の撃墜機は対空戦車によるものだった。一方空軍基地では遊撃機の離陸が始まっていた。
「出せる機体から出せ!無人機でも構わん!」
「4番機まで発進!あと4機です!」
「祖国の侵さんとする者に天罰を与えよ!神よ!」
など、様々な声が聞こえる。さて、そこから飛び立った機体は総勢506機。うち無人機は20機。殆どが有人機であると言っても過言ではない。全機、攻撃態勢に入り、獲物を待つ。その間にも空軍基地からは対空ミサイルが盛んに撃たれており、航空機たちを抜かしてゆく、そして爆発閃光が見えるのだ。全機到達する頃には敵も増援などがあり、敵700機とかなり膨れ上がっていた。一体、敵艦はどんな積載能力を持っていることやら。すると、また別の方角から対空ミサイルが飛んでくる。実はこの戦闘空域は海上からも近く、軍港に待機しているイージス艦のレーダーにも映っているのだ。まさにイージス艦のミサイル攻撃の第一派である。イージス艦のミサイル達は美しく隊列の様なものを組み、白い煙を棚引いて飛んでくる。正確に敵機に着弾撃墜する。これに負けてられないと航空部隊。ミサイルや機銃を放ち、敵機を一網打尽に。これに負けじと、地上部隊。敵からの機銃掃射の様なものを受け、撃破された車輌もあるが、怯まず攻撃。次々と敵を墜していく。まさに、人類側の圧勝で戦況は進み、1時間後には敵機が撤退して行った。しかし、被害が無かった訳ではない。無人機は全機撃墜。有人機も56機撃墜、105機損傷。地上部隊は堕ちてきた破片に当たるなど色々あり、105両あった部隊が56両に減っていた。イージス艦はミサイルを打ち尽くしたが、被害は無かった。敵のシールドを破れたのは大きな成果である。これからの戦いが有利になっていくだろう。大成功に終わったアマテラス作戦の知らせは各国に少しずつ伝えられ、人々を勇気づけた。次の作戦はいつか?そんなことは分からない。しかし、見えない明日はきっと必ず来るのだ。だって朝日は昇るのだから。そんな事が言える空軍基地であった…
次回予告
「絶望戦線」
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