第6話〜シノノメ作戦 発動〜

ライン軍港。ライヒ帝国最大の軍港である。ここには世界各国から集まった軍艦の一部が停泊していた。ライヒ帝国にはライン軍港のほかルール軍港、ハンブルク軍港、ヴィルヘルムスハーフェン軍港、キール軍港、ヴァーネミュンデ軍港、エッカーンフェデ軍港などがある。ライン軍港はライヒ帝国の中では最大規模ではあるものの、世界各国の海軍艦艇を停泊させるスペースは無く、各軍港にそれぞれ停泊させることにした。今回のシノノメ作戦の参加艦隊を第一水上打撃艦隊と仮称。第一水上打撃艦隊旗艦レッドファイター以下護衛艦60隻はヴィルヘルムスハーフェン軍港から出航をすることになった。

レッドファイターの艦長であるチェレスター・マミーレース少佐(39)は

「抜錨。我々は全海軍に先立って本格的な反攻作戦を開始する。総員奮励努力せよ。」

と冷静に語る。彼はその冷静さと決断力を買われ少佐に成り上がったのだ。

第一水上打撃艦隊は西ルール海域で合流し、艦隊速度30ktでアラスカ沖を航行する霧の艦隊を攻撃するため航路を急ぐ。

二時間後

敵艦がPPIスコープに表示され始めた。すると突如早期警戒機からの敵艦ミサイル発射の警告が発せられる。チェレスターはすかさず

「第一種戦闘配置!敵弾に向け指向性エネルギーレーザー迎撃砲用意!てぇ!!!」

すると、レッドファイターや護衛艦艇に置かれている指向性エネルギーレーザー迎撃砲合計95基から向かい来る敵弾に向けて、中赤外線域化学レーザーを照射。敵弾を迎撃せんとす。照射から数秒もしないうちに、敵弾が自爆する。照射したレーザーが命中。撃墜したのだ。喜びも束の間。敵艦から続いて、ミサイル発射。無論レーザーはエネルギーを大量に消費するため、連続照射は不可能である。仕方なく、VLSから、先進型誘導迎撃ミサイルを護衛艦などを含め合計320発発射。敵弾をうち7割を撃墜。残りは対空榴弾を装填した主砲弾及びCIWSでの迎撃を開始。しかし、残りの3割のうち5割しか撃墜ができない。

「総員艦内に退避ぃーー!」

と護衛艦レッドアローの艦長ダニエル・ジェイソン少佐(31)が発する。イージス護衛艦は迎撃能力が高いがその代わり、耐久力というものは殆どない。今回の敵弾はレッドアローのみを狙っている。数秒後敵弾は13発が命中。艦艇の右舷を破壊し尽くす。レッドアローが左舷に傾く。そして、ジェイソンが

「総員退避ぃぃぃ!!!」

と発するがその瞬間弾薬庫や燃料タンクに引火。大爆発を起こす。破片が僚艦である護衛艦ブルーレイズにも被弾する。レッドアローは数秒と経たず轟沈。乗員356名全員が死亡。そして、僚艦ブルーレイズが反撃を行う。前部VLSを開放。全弾射出。それに伴い、第一水上打撃艦隊各艦が攻撃を開始、敵艦隊の護衛艦艇である駆逐艦に向けて攻撃。

結果としては撃沈15大破12(航行不能)中破5小破88という結果であった。すかさずレッドファイターが、搭載している超電磁砲を敵旗艦と思われるプリンス・オブ・ウェールズ似の戦艦へ向ける。マミーレースが

「超電磁砲射撃用意。各護衛艦にブラインド眼鏡を着用を発令。第七種攻撃態勢へ移行。各員衝撃に備えよ。目標敵旗艦!撃てぇぇぇぇ!」

と発すると独特な爆音をたて、超電磁砲から弾頭が射出される。数秒と経たずその弾頭は敵旗艦に命中。重要区画の装甲を貫通。大爆発を起こす。すると、最後の足掻きかと全VLSを開放。敵艦隊から合計300発以上の艦対艦ミサイルと思しきものが発射される。瞬く間に艦隊上空に達し、艦隊は迎撃をするが、あまり効果はなく、次々と味方艦艇が撃沈されていく。それも敵のミサイルは正確に弾薬庫や各兵装などに当て、誘爆を起こし、より破壊力を増している。まさにサジタリウスの矢と称しても過言ではないと言えるだろう。結局敵からの艦対艦ミサイル攻撃がやんだ頃には艦隊は出航時の八割を損失。さらに殆どの艦艇が、航行不能や大破。とてもじゃないが継戦は不可能とされた。一方霧の艦隊の被害は旗艦轟沈護衛艦艇5隻損失4隻大破(うち2隻航行不能)7隻中破13隻小破と旗艦を損失したものの勝利と言えるだろう。この大敗は直ぐにライヒ帝国の海軍指揮部にも通達された。会議場は沈痛な空気が漂い、重苦しい。まさにシノノメ作戦は大失敗であった。


さて、敵陸戦隊が上陸した後に基地の設営を始めた元カリムズエラ公国。陸上車両の量産が開始されていた。辺りは闇に包まれ、朝日が昇る気配はない。少しずつ、砲身を北に向ける。それはまさにフライタン連邦の方向に向けていた。隣の国。レーダー公国は陸戦隊への攻撃を仕掛けるべく、臨時編成の本土防衛隊を設置。敵を迎え撃つという予定になっている。この作戦をレーヴェリ作戦とした。

地球外生命体との初の陸戦が行われるのである。地形自体は山岳地帯ではなく、盆地であり、地の利を活かせる状態ではあった。果たしてどれだけ地の利が敵に通用するか迷いつつも祖国を守るため勇敢な男達が戦場へと向かう。そこに何があろうとも……


次回予告

「レーヴェリ作戦」

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