第5話〜霧の艦隊〜

北方海域を西へと進む不気味な艦隊。航行中の船を見つけては御自慢の主砲で破壊し尽くす。旗艦と見られる戦艦。形はイングランド王国の戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」によく似ている。その艦橋には1人しか人らしきものは立っていない。それも幼く見える少女である。すると少女が、突如何者かに向け命令を放つ。

「艦隊針路1-1-0。右前進強速!」

と言うと、この戦艦は増速をし、艦隊進路をアメリカン合衆国の飛び地であるアラスカ方面へと針路を変更。それに伴い、艦隊は回頭をする。すると、少女が突如笑い出す。

「アハハハハハ!こんなに暗いからみんな居なくなっちゃったよ。今から迎えにいくからねぇ!待ってなよライヒ!」

と言い、艦隊は北方海域を抜け、アラスカ沖を氷山に衝突しないよう、慎重に抜けていく。彼等はライヒ帝国を目標に更に航路を急ぐ…


そんな時、ライヒ帝国は海軍を世界中から集め、反攻作戦を考えていた。しかし、敵が幾らか軍艦とは言えども空中に浮いていたらどうにも手が出せない。困っていたのだがそこにアラスカ沖を航行する不審な艦隊を発見したとの報告を、受けた。これは無人機による報告だった。しかしこの報告を送ったあと無人機は撃墜されてしまったのだ。敵艦に装備されていたVLSらしきものから発射されたミサイルで撃墜されたようだ。少なくとも敵は主砲及び、副砲などの通常兵装+VLSなどのミサイルの類のものの兵装を積んでいることが分かった。まずは、護衛艦3隻を派遣し、攻撃を仕掛けることにした。この3隻はいずれも大東亜皇国海軍の敷波、綾波、真希波の第一艦隊を派遣した。この作戦を「アヤナミ作戦」とした。まず、アラスカ沖にある氷山が多くある海域で待ち伏せを行い、VLSやアスロックで攻撃を仕掛ける。しかし、敵艦のミサイルらしきものに全弾撃墜されてしまう。すると、敵が突如回頭。敵から見ればT字戦となり、敵旗艦とみられる戦艦が主砲を一斉射。すると続いて付近の随伴艦も砲撃を開始し、あっという間に第一艦隊は全滅してしまった。この時の戦死者は950名。全員が戦死という悲惨な結果になってしまった。しかし、少しではあるものの敵の装備は掴めてはきた。それも、敵艦にはシールドは張られてない。しかし、その代わりに強力な装甲が張り巡らせてあった。

ライン軍港には各国の海軍大臣や参謀が集まり、会議をした結果、護衛艦40隻、超兵器1隻の大艦隊を結成し、再び攻撃を仕掛けることが決定。この作戦を「シノノメ作戦」とした。この超兵器はアメリカン合衆国の超兵器「レッドファイター」を使用。護衛艦とは言えども中には航空母艦が、4隻潜水艦が6隻が含まれている。人類最大規模の艦隊である。レッドファイターには超電磁砲が二基二門搭載されている。この超電磁砲がどれだけ、霧の艦隊に通用するか。その時では誰も分からなかった。


敵の陸上部隊が降り立ってから暫くが経つが、元カリムズエラ公国の土地は敵の陸上基地と化していた。支配地域を拡大せず、この場に留まり、まずは拠点を確保したのだ。そこから少しずつではあるが、陸上車輌の生産が始まっていたのだ。これを行い、戦力の安定化を図る。まさに合理的な手段と言えるであろう。

カリムズエラ公国から四つ国と小さな海峡を挟んだ先にシェルトリア・フライタン連邦民主共和国(以下フライタン連邦)という国が存在する。この国は五年前の異星人漂着の舞台となった国で、現在はこの国は地球外の星との国交を結んでいる。その中にブリーストル連邦(以下ブリーストル)という国家がある。フライタン連邦はこのブリーストルから他の星からの侵略行為が近く行われる可能性があると、警告されていたのだ。無論フライタン連邦はこのことを国連に提示するが聞く耳を持たない。しかし、現在はのうのうと異星からの侵略者を載せた宇宙船が浮いているザマである。フライタン連邦はブリーストルによる技術投与などで宇宙海軍の開発などを積極的に行ってきた。元々はフライタン連邦は海軍主義国家であり、陸軍の戦力は酷いものであった。他国の公開されている戦車図面を改造し、作成などと、独自開発のどの字もない位の状況だった。しかし、宇宙海軍と聞くと、海軍主義国家であるフライタン連邦は宇宙海軍の開発を積極的に始めるのだった。それにより、世界中には秘匿部隊として宇宙海軍が設置されていたのだが、どこもフライタン連邦程は発展していないのだ。最終的には宇宙海軍はフライタン連邦が、総司令部を受け持つことになった。この連合宇宙海軍は数が他に比べ少ないものの練度が非常に高く、まさに少数精鋭と言った感じである。恐らく彼等は地球最後の希望となるであろう。


次回予告

「シノノメ作戦 始動」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る