第一章 〜開戦〜

第1話〜国民の誇り〜

ライヒ帝国の中で最も大きな軍艦は

「ヴォルグルァンツァー」という

三胴船体、51cm連装砲を採用した

航空戦艦である。


この「ヴォルグルァンツァー」は

ライヒ帝国の国民からとても愛され、

慕われていた。

まさに国民の誇りであった。


そんな「ヴォルグルァンツァー」の

両舷に二隻の軍艦がいる。


右舷側を航行するのが航空母艦イカロス。

搭載機数は戦闘機で800機は搭載できる。


左舷を航行するのは戦艦アルテミス。

51cm三連装砲と超電磁砲を積んだ、

超火力を誇る艦である。


この三艦はいずれも全長700mを

超える超大型艦である。


ライヒ帝国民はこの三隻を

「三大守護艦」と呼ぶ。


この三隻が所属する艦隊は第三艦隊と言う。この第三艦隊の旗艦はもちろん

「ヴォルグルァンツァー」である。


ヴォルグルァンツァーの艦長

麻布 白水少将(47)は


「我が艦隊はこれより、」

「外洋演習を行うため、」

「出撃する!全艦抜錨用意!」


と第三艦隊各艦に告げる。

すると、ヴォルグルァンツァーの

後方にいた、ミサイルイージス護衛艦

「サイスティック」の艦長

五月雨 宵川少佐(27)が、


「了解。抜錨します。」


と答える。彼は冷静沈着で、

非常時への対処もよく、

27歳という若さで、国民の憧れである、

第三艦隊の護衛艦の艦長を勤める事が

出来たのだ。


まさにごく稀に見る叩き上げの士官である。


その言葉を無線で聞いた白水が、

不敵な笑みを浮かべ、


「抜錨!」


と叫ぶ。すると、

第三艦隊所属の各艦艇から、

錨を上げる時の独特の金属音がする。


今、国民の誇りである、

第三艦隊が出航するのだ。


すると、ヴォルグルァンツァーが

大きな汽笛を鳴らす。

大地が揺れるような勢いだ。


第三艦隊各艦が機関を始動させ、

全艦が微速進行を始める。


三大守護艦の三隻は、重々しい動きでは

あるが、動き始める。


ゴゴゴゴゴと、巨艦が唸る。


ライヒ帝国最大の軍港である、

ライン軍港。大規模な軍港とはいえ、

全長700mの巨艦が三隻や

第三艦隊の護衛艦等が入ると流石に手狭だ。


海軍軍部には軍港を新しく作る

という計画があったはずなのだが

暫くは実行されそうにない。


そんな軍港から第三艦隊はライン水道

に出ようとしていた。


ライン水道を抜け、外洋に出ようとした


その瞬間…


軍港の防災無線や、第三艦隊の

各艦艇のCICのスピーカーから、

けたたましい、警報音が鳴る。


CICの管制員などは混乱。

軍港内の整備兵なども困惑。


すると、太陽の光が徐々に

遮られている気がする…


今日は晴れのはずだがと白水は思っていた。そんな白水が空を見上げるとそこには……


次回予告

「招かれざる訪問者」

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