第4話

4.初めての死神


「雫、私と仕事する気はない?」

桜からそう言われ頭が真っ白になった私。桜と仕事するということは私は死神になるということ?でも、桜は死んでいるのに私は生きてる。

本当に出来るのだろうか。

「簡単なことだよ。雫と私は幽霊が見えるんだからその見えている幽霊を片っ端から片付けて行くわけ。どう?雫はできそう?」

私はその仕事をやりたいと思ったけどその仕事が非現実的過ぎて本当にある仕事なのか、いくら桜が言っても信じられなかった。あったとしても私ができるとは限らないし。

「どうなの、雫。雫?」

「えっ、あっ、いいと思うよ。でも実際の管理者の人にあってみないとわからないよね。」

桜は少し嬉しそうな顔をしていた。

「やっぱり引き受けてくれるんだ。ありがとう。」

…どういたしまして。心の中でそう言った。

「やっぱり管理者に合わないとだよね。じゃあ管理者のところへ行こう。」

桜は私の腕を引っ張り走った。びっくりしたのはこれからだった。いきなり空を飛ぶのは心臓に悪い。私は急いで桜の腕をつかんだ。

「桜、怖いよ…あっ落ちる‼︎」

落ちそうになった私は桜の身体を抱きしめた。

「怖がりだな、雫は。」

少し意地悪っぽく言った桜はいじめられる前の明るかった桜そのままだった。

桜は山脈みたいなところをみっつ超えたところで降りた。私はそれどころではなかった。やっと降りたところで乗り物酔いの症状と高所恐怖症の症状の重なりで私は強烈な吐き気に襲われていた。

「大丈夫?雫、しっかりして。」

桜が心配してくれているのはありがたいがこうなったのは桜のせいでもある。まぁ人のせいにするのは良くないが。

「桜、落ち着いて来たから大丈夫だよ。」

桜は私の反応を見ながらゆっくり歩き進めた。

「雫、あともうちょっとで着くよ。」

桜の声に反応したが自分の頭では理解ができていなかった。(やはりさっきのがまだ影響として残っているのかもしれない。)

「ここだよ。」

桜が指を指したのはいかにも死神住んでいそうな場所だった。

ボロくさくて不気味な建物、こういう建物は現実の世界のほうがありそうな気がした。

桜は無言でその建物に入る。

インターホン鳴らさなくていいの?

そうは思ったが私はこんなとこでは独りは嫌なので桜について行った。

不気味な装飾品や残酷な描写の絵。

私には到底見ることができない恐ろしいものなどが飾られていた。

「雫、大丈夫だよ。こんな飾り物はあるけどここに住んでいる人はそれほどまで悪い人じゃないし。」

私はそれでも怖過ぎて桜の身体にしがみついていた。

桜がいきなりここだ。と言って止まってしまった。

桜の目の前には、ごく普通のドアがあった。…さっきまではドアにも恐ろしい装飾がされていたのに。私はドアを開け中に入って行く桜を見て私は慌てて追いかけた。

ドア開けた中にはひ弱そうな私たちも知らない女の子がいた。

「桜、その子は誰?」

本当に小さい。声からすると小学2年生くらいだろうか。

「舐めないでね。私はあなた達より年上だから。」

その小さな女の子は私を睨みつけて言った。

私の心の中の声が聞こえたのだろうか。私は少し遠慮しながら謝った。

「すみません。」

私のことを見てプイっとそっぽを向いてしまった。そしてその女の子は桜に向かって言った。

「桜、今日は何の用?」

話を本題に戻すようだ。

「あのですね、この子…雫っていうんですけど死神の仕事が向いていると思って連れて来ました。」

小さい女の子は桜に向かって厳しい口調で話した。

「確かに死神の人数が少なくて困ってるとは言ったけどさあんたはバカなの。あんたは霊感が強くて例外でったけど、こんな霊感がなさそうな子を連れて来てなんだと思っているの。」

しかし桜はめげずに言い返した。

「桜の霊感は私より強いです。だって単に寝ている状態でもこの世界に来てしまったんですよ。」

桜は小さい女の子に向かってすごく意見を言っていた。

「えっ!生きている状態でここにいるってこと?」

小さい女の子はびっくりしてしまったようだ。

「どうしよう、ちょっと考えさせて。」小さい女の子は少し思考を巡らせていた。そして私の前に来て私に話しかけた。

「私は中上 紅葉(なかがみ もみじ)これからよろしくね。」

えっ…ということは私、死神になっちゃったの?

私は自殺してからの予想外の展開の数々にこれは絶対夢だと疑った。死んだ桜と会うこと自体がもう現実ではないのかもしれない。でもいままで感じたこと桜のことに関しては現実であって欲しいと考えた。


私はまず紅葉に連れられて森の中に入った。その森は暗く冷たかった。

まるで私を受け付けてないかのように強く風は吹き、日差しはささなかった。紅葉は私のことを見ながら言った。

「まず、あなたの名前を教えて。」

この子可愛い、やっぱり生きてたときは子役だったのかな。

「おーい、大丈夫?」

「あっ、私は大丈夫です。」

少し、紅葉に見惚れてしまい反応が遅くなってしまった。女の子なのに…

「えっと、私の名前は大波 雫です。えっと、よろしくお願いします。」

私は他人と話すのが慣れていないのか、声が小さくなってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死神と私 死神 @abcnaoki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る