ネタ出しの一例(陰陽師バトルもの)

「――閉じよ満たせ

(作者注:調べながらそれっぽい呪文を考えようと思っていたのでプレースホルダとしてFateの詠唱が書かれています)


 ぽう、と、波紋が広がるようにして、陣に光が灯る。反射的に怖じ気づくが、こうなってしまった以上は引き下がれない。今となっては後戻りすることの方が危険だ。


閉じよ満たせ閉じよ満たせ閉じよ満たせ閉じよ満たせ。繰り返す都度に五度。ただ満たされる刻を破却する」


 陣の上を、光の粒がくるくると回る。旋風つむじかぜに舞う砂塵の如く。


「告げる。汝の身は我の元に。我が命運は汝の剣に。聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば答えよ。誓いをここに。我は常世すべての善となるもの。我は常世すべての悪を敷くもの」


 光が強くなる。風に似たものが吹き荒れる。


「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」


 呪を紡ぎ終わるのと時を同じくして、くるくると舞っていた光の粒はひとつの影を編み出した。想定通りの人の形ではなく、なぜか小さな狐の形を。

 あらわれた狐はふるふると頭を振り、周囲の状況と己の姿を確認すると、いやに低く渋い声で「何だこの状況は?」と言った。


――まずは、なぜこんな非科学的な状況になっているのか、俺がどういう経緯で何に巻き込まれてしまったのか、そこから話したいと思う。


 何日前まで、俺は普通のサラリーマンだった。尤も、今もその地位を手放したつもりはないし、こんな面倒事はさっさと終わらせて、普通のサラリーマンに戻りたいと切望しているが、それはそれとして、つまり、ほんの何日前まではこんな事態になるなんて想像もしていなかったし、自分の名字に関して何かを考えたこともなかった。というか「安倍晴明の子孫」とか言われたって、千年以上も前の人じゃん。知らねえよ。ほぼほぼ他人。一人あたま二十年で考えたって五十代前の血とかもう残ってないっての。

「とはいえ事実ですから。そうして私どもで調べた結果、あなたのが最もマシです」

 仕事帰りに半ば強引に拉致られたファミレスで周囲を黒尽くめ(物理)の男どもに囲まれ、俺の正面に座ったまだ幼女と言っても良さそうな少女からそのような説明を受けた。いや、これは説明にすらなっていない。なんというか、中学二年生が書いたオリジナル漫画のあらすじを語られたような気分だ。情報量だけはあるが、説明と言えるものではない。

「すみませんが所用があるので帰らせていただいても?」

「あなたに所用など無いでしょう?」

 少女――なんとかと名乗っていた――は重そうな頭をころりと傾げた。子供特有の、まだ細い絹糸のような髪が肩の上で揺れる。そりゃまあ、予定なんか別に何も無いけど。何だその言い草。悪かったな何の所用も無くて。

「まず、あなたたちは誰ですか」

「先程既に名乗ったはずですが」

「『』では何の説明にもなっていません。常識的な言葉で説明していただかなくては」

「あなたの狭い常識に合わせることはできかねます」


「自分たちでやればいいでしょう」

「そうしたいのは山々ですが、我々の回路もろくなものではないのです。知識だけではどうにもならない。精々が――」

 割り箸袋で折った人形がひとりでに起き上がってくるりと回り、倒れる。ちなみにこの時、ちまちまと箸袋を追ったりそこに何かを書き付けたりするかなり長い間があった。

「――この程度」

「俺はそれもできません」

「それは知識の問題です。私達からすれば、あなたは破格の回路を持っている」

「先程は『最もマシ』と言っていたように思いますが」

「陰陽師と呼べるレベルに比べればの話です。一般人からは逸脱した素質を持っています」

 なんか新興宗教なんじゃないかって気がしてきた

---



ここまで。メモ書きをそのまま引っ張っているので「何日前」「なんとかと名乗っていた」「『』では何の説明にも〜」はまったく未定の部分です。

ネットの記述では満足できなかったので図書館に行って情報を集めようと思っていたら関連書籍が全然無くて困っています。どこにも出さず消すのが惜しいので取り敢えず晒す。なにかよい資料をご存じの方は連絡くださいまし。


以下、ふんわりとした設定(繰り返しになるが、陰陽道や周辺の歴史的経緯を調べて組み替える予定だったもの)(ネタメモからそのまま抜粋しているので口調が荒い)。


■モチーフ

SF×和風ファンタジー で 陰陽師の復権

科学アイテムと陰陽術をごたまぜに書く感じで

安倍晴明の血を引いているというだけで陰陽師方面のトラブルに引きずり込まれる主人公

一皮剥いたら魑魅魍魎の跋扈する世界

おそらく「妖怪と人間の戦い」が後に「人間と人間の戦い」になっていく


・相手の目的は「科学を滅ぼし陰陽師を復権する」こと、そこに「進化適応できなければ滅びるのは必定」をぶつけていくイメージ

「我らの時代は終わったのだ」

「それを憎いとは思わないのか」

「思わん」「少なくとも化学はうまいものを作り出した。ちきんらあめんを食うてみよ。その気も変わるやもしれん」

「……くだらん」「死して尚、然様な戯言をぬかすか」

「逆だ。死んでいるからこそ無責任に戯言を吐ける」

「嘘をつけ」「お前は昔からそうだった、いつでも自分は無関係だと言わんばかり」

「殺してやる、晴明」

「とうに死んでおるわ、阿呆」

陰陽師がなぜ廃れたかの歴史的なアレを絡めていきたい

→富国強兵時代の話だったのであんまり絡まねえなこれ


主人公の霊力が足りないので妖怪を食べて力を増す→敵を倒すために霊力を使い切り消滅する

となると敵の側はどうやって力を得ようかしらねえ


・だんだん異形に近づいていく晴明を書きたい

「我は霊力を持つ妖魔妖怪の類を食って霊力を補充している」

「ええまあ、それはわかります、この前聞きましたから」

「霊力を持つのは妖魔妖怪だけではない」

「え」

だけでは足りん』

「――人を、食べてるってことですか?」

「可能性の話だ。あるいは神社仏閣の襖でも食うているのやも知れん」

「何を他人事みたいな顔しているんです?」「言ったでしょう、あなたの回路は常人のそれを遥かに上回っていると。呆けていると食べられますよ。もちろん私もですが」

「その、回路が常人を上回っているって、比較するとどれくらいの話なんだ?」

「常人がこんにゃくゼリーだとすれば、あなたはカロリーメイトくらいですかね」

「……なるほど、破格だ」

 破格だということはわかるが、その比喩はちょっとどうかと思う。そんなに手軽に食べられてはたまらない。

「ちなみに私はヨーグルトくらいです」

 聞いてもいないのにそう付け加えられて、反応に困った挙げ句「カルシウムで言えばピカイチじゃないかな」とコメントしてみたところ、XXはなにもわかっていないんだなという風に深い溜め息をついて「カロリーメイトのカルシウム含有量はヨーグルト以上ですよ。大塚製薬なめないでください」と返した。へえ知らなかった。大塚製薬すごいな。

 人のフォローを何だと思ってんだ。


■キャラ

・主人公

 安倍晴明の血縁者だということで事態に巻き込まれた。いつもの受難体質ツッコミポジション。


・傲岸ロリ

 主人公を巻き込んだ張本人。高いプライドに見合った能力を持ち、優秀だがマスター適性がない(比喩表現)。いろいろ浮世離れしており、比喩表現がピーキー


・安倍晴明(狐)

 本当は人の姿で喚びたかったのだけど主人公の霊力が足りなかったために狐の姿で召喚されてしまった。かわいいギルガメッシュ。

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