第52話

議会はとかく鳴き頻る──。粘着質な淋漓たる政治家共、繚乱する強欲と思惑、立脚するためにはあまりにも頭が煩すぎる。 同格法


崖に沿った山道に自転車をながら、済し崩しにてきた今回の行程を振り返っていると、企画の頓挫を上司から幾度と詰られて、頭の隅に置いていた希望に泥まずにはいられない、倒れそうな蒼色の樹木を道辺に見出した。 同語異義復言法


山のなぞえに緑陰を広げようと、彼は映画で見知った山林農者を準えて、とある方策を試みたが、農民が施したと彼のは種類というか、源とする頼りがそもそも異なっていた。薄い頭髪をひっきりなしに撫で付ける農民を倣ったが、不首尾なく真似るにはいかなかった。 同語異義復言法


米俵を見たから、驚いて何が無しに担いでみたが、何のことはない、 嬲られていたのは自分だと察知した。自分こそ。自分のような意気地のない者は、並べてこういう目に合うのだろう。 同語異義復言法


おやじは確かに生聞きしたのだろう、、そんな、考えてみれば妙な言葉だ。鈍な頭脳、いや、迂愚な男らしい頭の働きでは、穿った意見の核心に触れることさえできない。生半に知識なんてものを身につけるべきにあらず。 倒装法


碧い海の海岸を、がクーラーボックスをから提げ、片手にはバケツを持って歩いている。艶めいた景色だろうか? 大方の人は、的を得ない、シチュエーションに適宜しない言葉というに違いない。されど、陽気に見える人と背景(後景といってもよい)に涙ぐましい何かがあり、風土は違えど、潜んでいる陰影には、隠微ながらも、健全でへこたれない活力が隠顕している。 倒装法


色合い定まらぬ並々ならぬ家並みには、、片田舎で世間を通じさせる畷の役割を果たしている。それらを敷設するので難儀な労力を要しただろう。 倒装法


いたらない職に就いたことを難詰されて、昨晩の彼女との喃語を苦い気分で思い出した、。自分の信じる世間を進むには難渋するのだ、と心得るほど温順ではなかった。 倒置法


暗闇空にぽつんと浮かぶ月は、今、。難場はいつだってそう、あのように、じわじわと、軟風を伴って。似通うような気振りもみせず。 倒置法


石段に座る老人男性は苦り切った顔をしているわけではないが、黒ずんだ褐色の肌と背の曲がりは、物象のあらゆる意義を厭悪する憎体な気配を呈している、。 倒置法


で奴を小馬鹿にしてやる。松明を奴の皮膚に躙りつけて灯火を消してやる。すれば、片意地で鰾膠も無い奴の気色にも艶色が移り、爛れた混乱がわたしといっしょに映発し合うだろう。 撞着語法


極彩色のグリーンイグアナの存在そのものによって、ここは、なんと如実に土地の消長を表しているだろう。生きるものは活き、死するべきものは失する。仏僧でさえ得難い忍辱を、一介の爬虫類はこの土地の系譜によって会得し、どれだけ弁えた生活をしてきたことだろう。 撞着語法


王侯の前に額衝くと、抜きんで稽古したフルートの練習曲がとなって脳中を突き通し、平身低頭している自分が抜け抜けとした迂愚に感じることがある。 撞着語法


彼女の体つきより受ける気立ては寧日であっても、。厚情と虚偽が立つ二本のポールの根方をうろつくその態度の盲に、熱誠を込めて文句をつけてあげたい、刃物を舐る宗教家のごとく。 トートロジー


伯父から受けた親切は積りに積り、彼の奥底に根雪となって、情けを解する人品へと育む。大通りを練り進む楽団の先頭に立ち、殷殷と喇叭を鳴らして、を人々に伝える。 トートロジー


あの老人の書体には世相に対する懇ろな筆の趣が表れている。、それを動かしている間に過去の念念とした遺産が去来して、ああいう字を書かせるのだ。数多く念慮してきた頭にどれほどのものが詰まっているだろう。 トートロジー


のうのうとした職業でござんした。のさのさと体を働かせてきやした。そうやって他人に伸し掛かって。 破調法


ドナウ川にも、ボートレースにも、沈没にも臨まぬ。どんな苦難におかれてものたうたぬ。されど、ミミズのごとく、ユライア・ヒープがのたくらんとする字を。 破調法


退っ引きならぬ恋の仇、丘か、或は、恥知らずなあいつの野面か、。 破調法


〔恋のことなら、どんなにロマンチックでもいいんです。を踏まえて〕大丈夫です、のことなら、どんなにチックでもいいんです。野辺に生きる草花のように、のべつ放言にさらされても、野放図な人になるよりはましです。 パロディ

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